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成長期には通貨危機…不況の沼にまたはまる「トラウマ世代」

韓国の20代が絶望に陥っている。中学・高校時代には通貨危機の余波で親の世代の倒産や失業を経験し、最近では就職難に苦しんでいる。

延世(ヨンセ)大学の金皓起(キム・ホギ)教授は、就職時期を迎えた20代を‘トラウマ世代’と名づけた。彼らは民主化以降の好況期に大学に入った‘新世代’や、通貨危機を克服しワールドカップ韓日大会のころに成長した‘2.0世代’とは異なるという説明だ。金教授は「最近の20代は経済的安定を重視する現実主義的態度を持つ。他の世代よりも就職のために努力してきた20代後半が逆説的に直撃弾を受けた」と指摘する。

◆「夢はなく現実だけ残る世代」=トラウマ世代はみずからを‘不運な世代’と呼ぶ。今年卒業を控えたイさん(25、女性)は、「夢はなく現実だけ残った」と話す。98年に李さんが中学3年生のときに父親が運営していた食堂がつぶれた。翌年の高校入学の際には母親が学費と制服のために韓服のボタンなど小さな金製品まで集めて売り払った。2002年に高校を終えたイさんは進学の代わりに保険会社の非正社員として就職し、退社後にはカフェや飲み屋でアルバイトをした。2005年に自分でためた金でソウル市内の私立大学の商経系列に入学した。しかし金融専門家を夢見ていたイさんは、数カ月前に起きた米国発の金融危機で事実上就職をあきらめた状態だ。


ソウルの4年制大学に通うパクさん(25)は卒業を控え休学届けを出した。すぐに金を稼がなくてはならないためだ。銀行員だったパクさんの父親は通貨危機当時に名誉退職した。パクさんの家族は父親の退職金と年金で生活してきたが、最近の経済危機で暮らし向きはより苦しくなった。パクさんは大学卒業まで待たず、すぐに中小企業でも就職する考えだ。パクさんは「10年前に父親の退職という悪夢がいま自分の休学として繰り返されているようだ」とつぶやく。

米国の大学に通っていて兵役のために帰国したペさん(26)は来年初めに復学するかどうか悩んでいる。急激なドル高のためだ。ペさんは、「10年余り前に建築業をしていて倒産した父親の当時の状況がいま自分に再現されている」と話している。

ソウル大学の郭錦珠教授(心理学)は、「彼らは成長期と社会進出期に相次いで社会的挫折を経験した世代。ともすれば‘自分の力ではなにもできない’と無力感に陥りやすい」と診断した。

◆トラウマ世代=トラウマとは激しい身体的・精神的ショックを経験した後に現れる精神的疾病で、天変地異や大事故、犯罪被害などを受けた後に発生する。金教授は中高生時代に通貨危機で親の失業・倒産を間接的に経験し、最近の米国発の金融危機により就職難に直面する20代後半を指してトラウマ世代と命名した。



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