危機迎えた開城工業団地…安保経済的な効果は

休日だった１５日と１６日、統一部の金夏中（キム・ハジュン）長官と洪良浩（ホン・ヤンホ）次官はソウル鐘路区世宗路光化門（チョンノグ・セジョンノ・クァンファムン）の庁舎を離れなかった。北朝鮮の開城（ケソン）工業団地では管理委員会の当直者が非常待機していた。


李明博（イ・ミョンバク）大統領の訪米期間中に、北朝鮮が開城工業団地で突発的な措置を取る可能性に備えるためだった。統一部の内部は緊張状態だ。北朝鮮が開城工業団地の閉鎖に踏み切る場合、南北（韓国・北朝鮮）間で行われた経済交流に関する合意はすべて水の泡となり、軍事的な緊張緩和という象徴性までも崩れるからだ。その影響は、北朝鮮の中国依存度が進むなど南北関係以外のところまで広がる可能性もある。

開城工業団地は５８年前に韓国戦争（１９５０－５３年）が勃発した当時、北朝鮮軍の第６師団が韓国を奇襲する経路となった、いわゆる「開城－ムン山の軸線」に位置している。開城からソウルまでは６０キロと、現在北朝鮮軍がソウルに到達できる最短の攻撃路だ。こうした軍事的な要衝に韓国側の要員およそ１２００人が常住しているのだ。

国家安保戦略研究所のイ・キドン研究委員は「開城工業団地はその存在だけでも、かつてのように地上軍による大規模な韓国侵攻は難しいという‘軍事的な緊張緩和’の象徴性がある」とした上で「工業団地の閉鎖はこうした象徴性が消えるものだ」と指摘した。

後ほど経済に及ぼす否定的な影響も深刻だ。南北は２０００年に工業団地の造成に合意する際「相手の自由な経営活動を保障し、相手の投資資産を保護する」という「投資保障合意書」を作成した。しかし工業団地の閉鎖措置はこれを全面無視するものとなる。

統一部によると、政府、土地公社、韓国電力公社、ＫＴ（旧韓国通信）などが工業団地のインフラ建設に３３３０億ウォン（約２３０億円）を注入した。昨年ベースで入居企業３６社も平均５２億ウォンを投資した。工業団地の閉鎖で投資資金の完全回収は不可能になる。北朝鮮としては朝米関係の改善後に期待していた外資誘致で「信頼できない国」という烙印が押されることになる。



北朝鮮軍の最南端に位置、南北緊張緩和の象徴（２）