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【社説】不況を照らす分かち合いの光

女優ムン・グニョン氏の静かな善行が感動を呼んでいる。匿名を条件に社会福祉共同募金会に過去6年間にわたり、8億5000万ウォン(約6000万円)を寄付したことが明らかになったからだ。ムン氏は疎外された青少年のための勉強や小児がん患者にも惜しみなく巨額の資金を援助してきた。贅沢でわがままな暮らしに陥りやすい芸能界で女優として着実に成長を遂げ、恵まれない隣人にまで配慮するムン氏の姿は実に素晴らしい。

まだ21歳のこのスターが‘分け合い’に関心を向けるようになった背景には両親の役割があったという。役者になりたいという小学生の娘にムン氏の両親は「お金をたくさん儲けたら、必ず恵まれない人たちにも分けてあげなさい。収入の一部を必ず社会に還元しなさい」と約束したという。人の欲望は際限がない。お金がいくら多くても、「隣人に分け与えよう」と考えるのは容易ではない。早い時期から幼い娘に分け合いの精神を身につける教育を行ってきた両親に拍手を送りたい。

貧富の差が激しくなっている社会で分け合いは選択ではなく必須だ。疎外層の抱える苦しみを無視すれば、社会全般の苦痛指数が高まり、この弊害は社会の構成員全体に返ってくる。自分の子ども、自分の両親が安全で幸せになることを望む利己的な考えを持っていても、隣人のために財布を開かなければならないという話だ。韓国の寄付文化もこの数年間に進展を遂げた。しかし不況を迎え、分け合いが急速に減少してきているのが問題だ。


社会福祉共同募金会に今年2-9月に寄付された寄付金は630億ウォン(約43億円)で、昨年に比べて108億ウォン(約7億円)以上減少したという。景気が急に冷え込んだにも関わらず、米国の昨年の寄付金総額が史上最高を記録したのとは対照的だ。最近のような不況には疎外層が真っ先に打撃を受ける。社会の安全網が充実していないため、余裕のある人が分け合いを率先しなければ不幸が訪れるかもしれない。年末を迎えるにあたり、ムン氏の分け合いの精神が社会全体に広がることを期待したい。



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