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韓国経済の専門家である米ピーターソン国際経済研究所のマーカス・ノーランド研究員は11日、「米自動車業界の深刻な危機により、韓米自由貿易協定(FTA)が2010年以前に米議会を通過するのは難しいだろう」との見通しを示した。アジア財団の招きで訪韓したノーランド研究員はこの日、中央日報とのインタビューでこのように述べ、韓国の冷静な対応を求めた。
--1カ月前にソウルを訪れた際に、「オバマ氏が執権すれば来年下半期中に議会を説得して一括承認手続き(ファーストトラック)方式で韓米FTAを通過させる可能性がある」との見通しを示していなかったか。
「当時に比べ状況がとても悪くなった。したがって来年中にFTAが通過するのは難しく、2010年になれば可能だろう。決定的な理由は米自動車業界の状況がこの1カ月間で極度に悪化したためだ。来年上半期中に1~2社が破産する可能性もある。これに対し韓国車の米市場でのシェアは来年さらに上がると予想される。円高ウォン安のためだ。こうした状況でオバマ次期大統領が業界と労働者の反発を押し切ってまで韓米FTAを通過させる可能性はない」
--そのほかの障害は。
「オバマ次期大統領は来年1月20日の就任後にただちに消化すべきスケジュールだけで3000件を超えており、韓米FTAまで取りまとめるには時間がかかる。政策順位も1番目が経済危機、2番目がイラク・アフガニスタン問題で、FTAはずっと順位が低い。結局、早くても来年5~6月にようやく韓米FTAを検討する実務陣会議が初めて開かれるだろう。複雑な再交渉過程を経て議会を説得するには多くの時間がかかる。そのため来年中の通過を期待するのは難しくなる」
--上院と下院を民主党が掌握したのにオバマ氏が議会を説得するのは難しいのか。
「その通りだ。FTAについては政府と民主党の利害が異なる。さらに初当選議員で上院で一番格下のオバマ次期大統領は議会に基盤がない。クリントン政権当時に北米自由貿易協定(NAFTA)を批准する際も、民主党の大統領(クリントン氏)が共和党よりも民主党の議員を説得するのにはるかに困っていた。オバマ次期大統領も自動車産業地帯であるミシガン州出身のレビン下院貿易小委員長らFTAに反対する民主党のベテラン議員を説得するには大変だろう」
--韓国が再交渉に出るならどのような条件で可能か。
「韓国政府が決定する問題だ。韓国車に対する関税撤廃猶予期間を10年から15年に延長することが一例として挙げられる。それでも韓国車の米国内の競争力は維持できるだろう」
--オバマ次期大統領の対北政策はどうなるか。
「韓国メディアが最も錯覚しているのは、‘オバマ次期大統領は北朝鮮にソフトだろう’という幻想だ。オバマ次期大統領はブッシュ政権が北朝鮮と交渉しながら核検証プロセスを不透明に処理したことに相当の懸念を持っている。そのためオバマ次期大統領は‘北朝鮮が完全で正確な核検証に応じなければ他の国を率いて北朝鮮を制裁する’ととても明確に自身のウェブサイトで明らかにしている。オバマ次期大統領は北朝鮮にとって決して‘ハト’ではない。むしろ空中で回りながら状況を見つめ、時が来ればすばやく切り込んでくる‘ワシ’だと言える」
【ニュース特集】韓米FTA(自由貿易協定)
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