アフリカの黒人が奴隷として売られていた１６世紀には、陽をどれだけ受けるかで皮膚の色が変わると考える人がヨーロッパに多かった. 黒人がアフリカを離れ、日差しがもっと弱いところに移住すれば、黄色になると考えた。 しかしこの仮説はコロンブスが新大陸を発見して破られた。 ヨーロッパと気候が似た北米原住民の皮膚の色がオリーブ色だったからだ。 アフリカを離れてヨーロッパ・新大陸に定着した黒人の皮膚の色も変わらなかった。

人間の皮膚の色はメラニン・ヘモグロビン・カロチンの３つの成分によって決まる。 このうちカロチンは、ニンジン・ミカンなどカロチンが豊富な食べものを過剰摂取すれば皮膚の色を黄色く変えるなど、一時的な影響を及ぼす。 ヘモグロビンは、皮膚の表面に多ければ皮膚が赤みを帯びる程度だ。 核心はメラニン。 メラニンは褐色・暗い色を帯びる。 人種によってメラニン細胞の数が変わるのではなく、メラニン細胞の中でメラニン小体がどれほど密になっているかによって皮膚の色が決まる。


皮膚の色は陽の紫外線に対する適応の産物という理論も説得力がある。 ２０万年前、アフリカ赤道付近で暮らしていた人類の先祖は黒い皮膚だった。 汗を早く発散させて体温を下げ、‘有害な’紫外線を防ぐのに黒い皮膚がより効果的だったからだ。 実際、同じ量の陽を受けた場合、白人は黒人よりも皮膚がんにかかる危険は１０倍も高い。

ところが皮膚が黒くて体に紫外線をあまり受けなければ、「サンシャインビタミン」（日に当たれば体内で生成）として知られるビタミンＤが欠乏する。 黒人が白人に比べてビタミンＤ不足によるくる病・リウマチ関節炎にかかる危険が大きいのはこのためだ」（『米国臨床栄養学会誌』・２００４年１２月）。

人間の先祖がアフリカを離れてヨーロッパ・アジアなど日照量の少ないところに移動した後は、ビタミンＤをより多く受ける必要があったのだ。 彼らは生存・健康のために「紫外線遮断装置」である黒の代わりに黄色または白色の皮膚を持つことになる。 例外としてユピック・イヌイット族は太陽があまり出ない極地域に暮らしながらも皮膚が黒い。専門家らは普段からビタミンＤが豊富な魚をたくさん食べ、皮膚が薄くなる必要がなかった、と分析している。

黒い皮膚は長い間、差別の象徴だった。 しかしマーチン・ルーサー・キング、コリン・パウエル、コンドリーザ・ライスなどの成果でその壁が次第に崩れている。 そしてついにバラク・オバマが頂点に立った。