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<取材日記>オバマ・マーケティングより重要なこと

米史上初の黒人大統領の誕生に全世界が興奮に包まれている。人種の障壁を突破し、世界を牛耳る米国の大統領に選出された同氏に賛辞を送るのは適切なことであろう。

マイノリティー(少数派)のサクセスストーリーはそれ自体で平凡な人々の感性に訴える魅力があるからだ。しかしオバマ氏の当選をめぐる韓国政界の反応は、やや恥ずかしく思える部分がある。大衆に強くアピールするオバマブームに便乗しようとする動きばかり読み取れるからだ。

国内の政界で、米国の新政権に対する落ち着いた分析と韓国社会の「変化」についての省察は見つかりにくい。その代わり、オバマ氏個人との親疎関係を広報しようとする声だけ聞こえてくる。オバマ氏が所属する党と名称が同じだからだろうか。国内では野党民主党が露骨に「オバマ・マーケティング」を展開している。


同党の宋永吉(ソン・ヨンギル)最高委員は自らを「韓国のオバマ」と呼ぶ。同氏は4日、自身のホームページに掲載した文で「オバマ氏は韓国の386世代(60年代に生まれ80年代に大学校に通った世代の通称)と同じ世代で、私の生き方との類似点が多い」と強調した。同じく民主党の金民錫(キム・ミンソク)最高委員も「6月の党最高委員予備選でオバマ氏のブームを予見していた」とし、自身の「予知力」を広報した。

保守派政党の与党ハンナラ党も「オバマ効果」への期待感を隠さなかった。田麗玉(チョン・ヨオク)議員はオバマ氏の当選が確定した5日、自身のホームページに「オバマ氏は韓国の‘似而非左派’とは異なる」とした後「オバマ氏の当選がハンナラ党にとって不利なことだとは考えていない」という内容の文を掲載した。

前職・現職の大統領らも変わらなかった。青瓦台(チョンワデ、大統領府)と烽下(ポンハ 盧武鉉前大統領の住居地)村では「李明博(イ・ミョンバク)=オバマ」「盧武鉉(ノ・ムヒョン)=オバマ」という等式が、それぞれ登場した。青瓦台は「恵まれなかった幼い時代と反転のストーリー、厳しく強い母親など李大統領とオバマ氏は似ているタイプだ」という見方を示す。李大統領も「新しい米国の変化を求めるオバマ氏と、新たな変化を提起した韓国の現政権のビジョンが似ている形だ」とした。

盧前大統領側も「(オバマ、盧両氏が)政界の‘非主流’から時代精神に相応する人物に急浮上した点と、インターネットを用いた点が似ている(千皓宣前青瓦台スポークスマン)」と強調した。

世界のスターに浮上した人物と「似ている」という言葉は、誰もがそう言われたいだろう。しかし突然あふれだした政界の「オバマ・マーケティング」は軽く、目を覆いたくなる感が拭えない。個人や政派的な利益だけに基づいてオバマ氏の登場を取り上げてばかりいられないのだ。自由貿易協定(FTA)などの韓米関係、朝米関係では今後の変化の度は強まるほかない。真摯(しんし)かつ落ち着いた態度で、オバマ氏以後の政策代案について深く考える政界の姿を期待したい。



【ニュース特集】米国初の黒人大統領が誕生

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