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<グローバルアイ>日本の良心と歴史歪曲の亡霊

 沢地久枝氏(77)は極右勢力の憲法改正の動きに反対する「九条の会」を結成し活動しているノンフィクション作家だ。 10代のとき中国・満州で日本の敗戦を見守った沢地氏は、現地で1年以上も難民生活をした。 いち早く撤収した日本軍の代わりに満州で沢地氏の家族を守ってくれた人は周囲の中国人と韓国人だった。

日本早稲田大文学部、出版社の編集者を経て作家の道に入った沢地氏は、戦争資料を調べている途中、1942年のミッドウェー海戦の正確な戦死者数と名簿がないことに気づいた。 沢地氏は翌日から米国立公文書館、米日戦友会、米国と日本の戦死者墓地を訪ねながら正確な戦死者名簿を作成した。 これまで確認された戦死者は日本側3057人、米国側362人。 遺族と会って戦死者の生涯と夢、日本が起こした残酷な戦争の実像を一つひとつ記録した本が『滄海よ眠れ』『記録ミッドウェー海戦』だ。

沢地氏はこの本で、ミッドウェー海戦で勝利した米国は34人の日本軍捕虜を返したが、日本軍は30余人の米軍捕虜を殺害したことを日本社会に知らせた。 米軍捕虜の虐待に加わった人たちに直接会い、当時の日本軍の蛮行を暴露した。 沢地氏はこの2冊の本で86年、日本の有名な文学賞である菊池寛賞を受賞した。 沢地氏は今でも「九条の会」会員と全国を回り、戦争の弊害と日本政府の再武装を警告する講演を行っている。


先週、日本自衛隊の田母神俊雄航空幕僚長が日本の韓国植民地支配と侵略戦争を正当化する論文を書いていた事実が明らかになった。 田母神氏は「日本は侵略国家であったか」と題した論文で、「満州と韓半島は日本統治下で豊かになり、多くのアジア国家が日本の統治を肯定的に評価している。 日本が侵略国家というのは濡れ衣」と主張した。 「19世紀後半以降、日本が韓半島と中国大陸に軍隊を進出させた時、相手国の了解なく一方的に送ったことはない」とも述べた。 この論文はホテル・マンション経営会社アパグループが主催した第1回「真の近現代史観」懸賞論文で最優秀賞を受け、5日、アパグループが発行する月刊誌に載せる。 会社側は論文の英語翻訳版までも出版する予定という。

3日に記者会見を行った田母神氏は「私の論文が間違っているとは思わない。 (戦争過誤を認める)政府見解は検証されるべきだ」と述べた。 「一言も反論できないようでは、北朝鮮と同じ」とも語った。 もっと衝撃的なのは、田母神氏が昨年5月、航空自衛隊幹部に配布したものにも似た原稿が載せられていた。 日本政府が田母神氏のこうした前歴を全く問題視せずに幕僚長に任命したという点にも驚く。

麻生太郎首相と濱田靖一防衛相は「政府見解と異なる。職にとどまるべきではない」と直ちに更迭した。 しかし当初予定された防衛省の真相調査と懲戒はうやむやになった。 防衛省は「当事者が調査に応じない意向を伝えてきたうえ、60歳の定年に該当するため、定年退職として処理する」と発表した。 幕僚長の定年は62歳だが、幕僚長を更迭された空軍将校の定年は60歳ということだ。 退職金も支払われる。

韓中日3カ国は日本歴史教科書波紋のため先延ばしされた3カ国首脳会談を来月14日に開くことにした。 世界的な金融危機と北朝鮮事態、食品安全問題など3カ国がいつよりも協力しなければならない時期だ。 にもかかわらず歴史を歪曲する日本の右翼とその肩を持つ政界の姿勢は相変わらずだ。 自らの過誤を認めて反省する沢地氏のような良心を彼らに期待するのは本当に無理なのか。



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