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世俗から抜け出して孤高に学問を研究する大学を人々は象牙の塔だと呼んできた。 象牙の塔は、英国オックスフォード大学のクリーム色のツインタワー、ホクスムアータワーに由来するという話がある。 この建物で純粋学問を研究した学者を尊敬するという意味で、貴重な象牙に例えたのだ。 象の上あごの門歯である象牙は、プラスチックで代替されるまでさまざまなところに使われた。 印鑑・彫刻品の材料や装身具・ビリヤード球・ピアノ鍵盤など幅広く使われた。 需要が増え、アフリカでは象の密猟も増えた。
最近、アフリカには「象墓」があるという話も伝えられている。 老いた象が死ぬときになると訪ねるところがある、という伝説だった。 しかしこれは密猟屋が象を抹殺したのではなく、墓で象牙を拾ってきたと言い逃れるために作りだしたものにすぎなかった。
密猟が続き、1980年に130万頭にのぼったアフリカの象の数は、89年の半分にもならない62万5000頭に減った。 国際社会は89年、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)」に基づき象牙の貿易を全面禁止した。 アフリカ各国も押収した象牙を焼却し、密猟を徹底的に取り締まった。 このおかげで象の数はまた増え、一部の地域では象が多すぎて頭を悩ませているという。 ジンバブエでは10万頭を超える象の数を調節するため、今年から年間6000頭ずつ処理し、その肉を住民に供給することにした。南アフリカ共和国でも5月から選別処理を始めた。 94年の8000頭から2万余頭まで増えたからだ。
その間、アフリカ国家は個体数の調節のために射殺した象の象牙を保管し、CITES事務局に国際取引を認めるよう要求してきた。 今年7月、CITES側はボツワナ・ナミビア・南アフリカ・ジンバブエの4カ国が保管する象牙108トンを中国が輸入できるよう許可し、30日、競売に入る。
しかし今でも毎年2万頭が密猟されているが、密猟屋が合法的取引のスキに「象牙洗濯」をするという環境団体の主張を無視することはできない。 実際、一時的な供給は需要だけを増やし、むしろ密猟を増やす可能性もなくはない。 プラスチックが象牙の需要の大部分に取って代わる21世紀にきて、今さらのように象牙ブームを起こし、これが生態系の破壊につながらないか心配だ。
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