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映画『少年は泣かない』(MKピクチャーズ制作、ペ・ヒョンジュン監督)。
映画のタイトルのように、イワンは最初から涙の演技とは縁遠かった。友だちテホ役のソン・チャンウィよりタフな役柄のジョンドゥだから、劇中泣くひまもなかった。1953年、韓国戦争(1950~50年)直後の混乱期に投げ出された18歳の少年らが世の中と戦っていく物語。ジョンドゥは大人と入り乱れて生存のために戦わなければならなかった。
最初キャスティングされた当時、ジョンドゥとテホのキャラクターづくりをめぐって、様々な議論があった。それで出された結果は、血の気の多いジョンドゥが髪形を丸刈りにし、理性的な性格のテホは反対にナチュラルに伸ばすのが自然だろうということだった。
だがイワンは正反対の主張をした。むしろジョンドゥが長い髪型をする方が、キャラクターに合っていると強調した。ヘアースタイルで合意が漂流していたある日、ソン・チャンウィがひき止める間もなく、自ら頭を刈り上げてきた。結局イワンの提案通りに、撮影に入った。
「事実上、髪を刈ることで悩んだわけだが、結果的にはチャンウィ先輩の丸刈りが映画の物語とよりうまく一致したという評価を得たようだ。後ほど、監督も私の判断が正しかったと言ってくれた。チャンウィ先輩には少し申し訳ない気持ちもあるけど…」。
イワンはまた、アクションの多いジョンドゥ役を演じるため、撮影の2カ月前から練習をした。きちんと食べることも着ることもできない戦争直後の少年が色白なのも問題だったことから、タニングをし「田舎っぽく」メークアップもした。抜群の筋肉も意図的に減らした。
しかし撮影のヤマ場は最後にやってきた。一度きりの涙のシーンだ。決して泣かない少年が最後に流す熱い涙のシーンだ。撮影当日、イワンは感情が乱れるのを懸念し、監督と撮影、照明担当のスタッフに了解を得ながら自分のペースを崩さず撮影に挑んだ。
「泣かない少年なのに、泣くという話をしてもいいのかな…。アクションシーンが疲れるわりに思ったより苦労が少ない半面、感情の演技の方が努力を必要とした」。
『少年は泣かない』はイワンが2年前に撮影に臨んだ作品だ。長い熟成の末、公開されることになった。11月6日に公開の予定。
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