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【噴水台】声紋



1970年、米国でフルショフの回顧録(『フルショフは記憶する』)が出版されると、すぐに真偽をめぐる論議が起きた。フルショフが64年にソ連共産党第1書記から失脚した後、5年間ひそかに録音してきたテープを入手した、というのが出版社の説明だった。しかし自宅軟禁状態でKGBの監視を受けていた彼の肉声テープが、鉄のカーテンを突き抜けて流出したのかという疑問が絶えなかった。米中央情報局(CIA)の操作説まで出てきた。論議は声紋を分析することで終息した。該当テープの音声と60年のフルショフの国連総会演説録音を比較した結果、声紋が一致したのだ。

声紋とは、声の高低と音量、共鳴を表す周波数を視覚的に表したものをいう。人の指紋のように各自が独特の特徴を表す。声紋分析装置は、63年にベル研究所のローレンス・ケルスタによって開発された。ケルスタは5万人の声を録音・分析し、人によって声紋にはっきりとした差があるという点を立証した。声優が他の人の声を真似ても声紋は完全に違うという事実も明らかにした。


今日、声紋分析は個人識別に決定的な役割をする道具に定着した。2001年にオサマ・ビンラディンのメッセージが入った肉声テープが放映された時も、2003年にイラクで潜伏中だったサダム・フセインの肉声テープが放映された時も、CIAは声紋分析を通して本人であることを確認できた。

数カ月間にわたり姿を現していない金正日(キム・ジョンイル)北朝鮮国防委員長について各種推測が出回っている。このうち目を引くのは日本の韓半島専門家、重村智計教授(早稲田大)が提起した死亡説だ。彼は昨年夏、『金正日の正体』という本を出し、「金正日(キム・ジョンイル)は2003年に死亡し、それ以降は影武者が本物のように活動している」と主張した。「2002年と2004年の朝日首脳会談で金正日(キム・ジョンイル)委員長の声紋が完全に違った」という根拠を出している。しかしそれが事実なら、今までばれずにきたこと自体が疑わしい。

韓国にも00年と07年の南北首脳会談の録音があるからだ。両時期の金委員長の声紋を分析すれば、事実は簡単に確認できる。そういえば19日にインターネットに広まった「金正日死亡説」偽記事が思い出される。関心を集めて照会数を上げようという‘釣り’にすぎなかった。金正日の正体』という本が‘釣り’なら、日本のいわゆる「韓半島専門家」という人たちの正体が気にかかる。



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