1970年、米国でフルショフの回顧録(『フルショフは記憶する』)が出版されると、すぐに真偽をめぐる論議が起きた。フルショフが64年にソ連共産党第1書記から失脚した後、5年間ひそかに録音してきたテープを入手した、というのが出版社の説明だった。しかし自宅軟禁状態でKGBの監視を受けていた彼の肉声テープが、鉄のカーテンを突き抜けて流出したのかという疑問が絶えなかった。米中央情報局(CIA)の操作説まで出てきた。論議は声紋を分析することで終息した。該当テープの音声と60年のフルショフの国連総会演説録音を比較した結果、声紋が一致したのだ。
声紋とは、声の高低と音量、共鳴を表す周波数を視覚的に表したものをいう。人の指紋のように各自が独特の特徴を表す。声紋分析装置は、63年にベル研究所のローレンス・ケルスタによって開発された。ケルスタは5万人の声を録音・分析し、人によって声紋にはっきりとした差があるという点を立証した。声優が他の人の声を真似ても声紋は完全に違うという事実も明らかにした。
声紋とは、声の高低と音量、共鳴を表す周波数を視覚的に表したものをいう。人の指紋のように各自が独特の特徴を表す。声紋分析装置は、63年にベル研究所のローレンス・ケルスタによって開発された。ケルスタは5万人の声を録音・分析し、人によって声紋にはっきりとした差があるという点を立証した。声優が他の人の声を真似ても声紋は完全に違うという事実も明らかにした。
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