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15日、およそ1100年間にわたり中国古代の諸王朝(13王朝)の都となった陝西省西安市から南西部に359キロほど離れた洋県のトキ国家級自然保護区。
保護区域につながる町の道路に入ると、堆肥(たいひ)をぎっしりと積んだ手押し車が通りすぎ、田では農民が牛を用いて耕作している。60年代の韓国農村の風景に似ている。
遠く田のあぜに座った野性のトキ1羽が餌を探している。堆肥のにおいが立ち込める農路を通りすぎて、面積1万5000平方メートルにのぼる保護区域内の野生適応訓練場の中に入ると、数十羽のトキが力強く羽ばたいている。
訓練場は、小さな池と6600平方メートルにのぼる田の上に高さ35メートルの網を打っておいた。トキの巣がある木の下はビニールで覆いかぶせておき、蛇やイタチなどトキの天敵が上ってこられないようにした。巣の下には、子や卵が落ちるのを防ぐために網も打っておいた。
現在、洋県付近には人工飼育中の500羽、これまで野生適応の訓練を終えて放し飼いされている約500羽など計約100羽のトキが生息している。トキはゴールデンライオンタマリン、カモシカ、レッサーパンダ(小熊猫)とともに、中国政府が国宝級動物として保護している。
そのため洋県には、トキをひと目見ようと観光バスに乗ってくる中国人観光客が相次ぐ。トキの商標を付けた酒も売っている。案内者の趙広さん(26、女)は「トキは人よりも見習うべき点が多い鳥」とし「中国では吉兆として喜ばれる」と説明した。トキ自然保護区によると、トキは一夫一妻で貞操を守り、家族愛など人間と似たような習性を持っているという。雄と雌を同じ鳥かごに入れるからといって繁殖しない。それぞれ決めたカップル同士でのみ繁殖する。夫婦のうち1羽が死んで独り身になれば、その後も独りで過ごす。午前に巣を出て、夕方には必ず帰ってくる。ストレスに敏感で、寿命は40~50年ぐらいという。
トキは清浄地域でのみ生息する。中国も環境汚染でトキが消えていくと、82年に13の県を探った末、洋県から7羽を見つけ出し、人工繁殖を開始した。トキの数が増えると、90年にはトキ自然保護区を設置して本格的な研究に乗り出した。82年から投入された資金が5000万人民元(約10億円。1人民元=約19円をベース)だという。
トキ自然保護区の丁海華所長(44)は「これまで日本に伝授した経験を生かし、韓国のトキ復元事業も手伝いたい」と話している。日本は約10年前から当地に教育施設や飼育場などを建設し、トキの人工繁殖をサポートしてきた。ここの年間運営費170万人民元の相当額は日本の企業と民間組織が提供している。
人工飼育中のトキの飼育費を外国から後援してもらう「トキ認養制度」もある。指定されたトキに名前を付け、年に1羽当たり1万人民元(約193万ウォン)の餌の費用を支援する姉妹提携制度だ。日本に10羽、ベルギーに2羽、韓国の慶尚南道昌寧郡(キョンサンナムド・チャンニョングン)2羽を含めて計16羽が同制度によって飼育されている。
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