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【グローバルアイ】金総書記重病説めぐる騒ぎの教訓

北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長は朝鮮労働党の創党63周年記念日の10日にも姿を見せなかった。最高指導者の現場指導が政権の維持に大きな役割を果たす北朝鮮体制では極めて異例のことだ。

日本では金委員長の行動を観測する「金正日分析家」が各所で活動している。個人的に事務室を設けて金委員長関連の情報を収集し、外務省や法務省の公安担当者に提供する私設機関が並んでいる。北朝鮮と中国の国境地帯に常駐して情報収集活動を行い、後継者に挙がっている長男金正男(キム・ジョンナム)氏の動向を把握するために中国や東南アジア、欧州を回りながら同氏の動きを追跡する。

日本の情報当局は証券業界の私設情報誌(俗称・チラシ)並みの確認済みでないデマも集めて真偽の把握に活用する。米国や中国情報当局から得る情報と比較し、一致すれば北朝鮮関連政策に大きなプラスとなる。一部の金正日分析家は2000年代初めに比べ、現在の金委員長の声は大きく変わっているという点を指摘し、同氏がすでに死去したという主張までしている。これらは4、5人の「影武者」が金委員長の代役を務めていると見ている。


日本のある大学の教授は、金委員長が4年前に死去したと断言した。このように金委員長に関するあらゆる諜報とデマ、うわさが飛び交うが、確かなのはいずれも確認済みでないということだ。金委員長が脳卒中で倒れたという説も同様である。韓国の情報当局は金委員長が脳卒中で手術を受けた後、自らう歯磨きができる程度まで回復したという情報を公開したが、確認できる方法も、証拠もないことから真偽は分からない。

そうした金委員長が11日に軍部隊を視察した写真が突然北朝鮮国営の朝鮮中央通信を通じて公開されたが、これもやはり真偽をめぐる論議を呼んでいる。こうした「金正日騒動」を見守りながら心配事が一つできた。金委員長の騒動が予告なしに起きたのと同じく、北朝鮮の非常事態も突然やってくる可能性が高いという点だ。

来年になれば20周年を迎えるドイツの「ベルリンの壁」崩壊がそうだった。もちろんベルリンの壁がその日突然に崩れたわけではない。西ドイツと東ドイツが対話を繰り返し、東ドイツ住民の民主化を求める声が高まり、国際社会の協力もあったからこそ可能だった。こうした努力が積み重ねられて建国40周年記念式典を契機に東ドイツは崩壊した。建国記念音楽会で音楽家が「反政府宣言文」を朗読したことが引き金となってデモ隊が雪だるま式に増えていき、89年11月9日に東西の障壁が崩れた。

いつなのか誰も分からないが、こうしたことが韓半島でも突然起きるかもしれない。韓国が米国と中国の協力を得て混乱を最小化するのも重要だが、その次に来る経済的な衝撃は想像を超越し得る。経済が厳しい状況で、そうしたことに備えるのは依然考えることもできずにいるのが韓国の現実だ。結局、統一は費用の問題に直結する。ドイツの経験がこれを証言している。

わずか数日前のことだったようなベルリンの壁の崩壊からもうすぐ20年になるものの、ドイツは今でも後遺症に悩まされている。東ドイツ地域の高い失業率と文化的な違いは社会不安の原因だという。語り口から異なり、互いにどちらの出身かがすぐ分かるだけに、妙な地域感情も生じているということだ。

日本政府はドイツの事例を研究し、南北(韓国・北朝鮮)統一以後に備えた対策を講じている。日本は韓半島の非常事態に備えて、在韓日本人の疎開作戦を強化するのはもちろん、難民対策も点検している。東ドイツの崩壊当時にも約2%の人口が欧州の周辺諸国に流れ込んだ。

韓国では金正日騒動の焦点が今でも健康かそうでないかだけに当てられている。しか

し金委員長が死去したとしても、それは北朝鮮の情勢変化の始まりにすぎない。外交安保レベルの対策に劣らず、経済の格差、文化的な差など、津波のように襲ってくる「統一の衝撃」に対し、備えあれば憂いなしとなる。



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