精神科の医師は、ある人が精神疾患者かそうでないかきちんと区別できるだろうか。 1970年代初め、米国の無名心理学者だったデビッド・ロジェンハンはこの疑問に挑戦する実験を行った。 ロジェンハンと彼の友人7人は、全国の精神病院に分かれて全く同じ嘘の症状を訴えた。 「声が聞こえます。 ‘クン’という音です」。 この一つの症状だけでみんな入院した。 入院後は健常者と同じ行動をとった。 8人は医師に日常生活の満足と挫折感についてありのままに語った。 実験が終わり、全国に散在していた偽患者が集まった。 7人が精神分裂症、1人は躁うつ症という診断を受け、平均19日の入院治療後、全員が「一時的な症状回復」で退院したことが明らかになった。 実験の結果を整理したロジェンハンは73年、「ネイチャー」誌に「精神病院でまともな精神状態で過ごす」と題した論文を発表した。 すると、ある精神病院が挑戦状を出した。「われわれに今後3カ月間、偽患者を送ってみなさい。 必ず区別する」。3カ月後、病院側は偽患者41人を見つけ出したと発表した。 実際には一人も送られていなかったにもかかわらず。
精神医学、特に精神分析学はこの時の打撃から回復できなかった。 当時の精神医学は精神分析学とそれに伴う「相談治療」が主流をなしていた最後の時期だった。 「過去があなたを治癒できます。 私に幼い時期に抑圧された傷をすべて聞かせてください。 そして思う存分泣いてください…」
精神医学、特に精神分析学はこの時の打撃から回復できなかった。 当時の精神医学は精神分析学とそれに伴う「相談治療」が主流をなしていた最後の時期だった。 「過去があなたを治癒できます。 私に幼い時期に抑圧された傷をすべて聞かせてください。 そして思う存分泣いてください…」
この記事を読んで…