‘バラードの皇帝’‘国民歌手’…。 歌手シン・スンフンには常にこうした修辞が付いてきた。 韓国人に最も愛されるジャンルの「バラード」で得た‘皇帝’という称号は、シン・スンフンを自然な流れで‘国民歌手’に伸し上げた。

しかし‘バラードの皇帝’というタイトルは、シン・スンフンにとって光であると同時に影にもなった。 「バラード」に圧倒され、彼のアルバムのロック・ラテン音楽は輝きを失った。 シン・スンフンは歌詞を書き、曲を作り、音楽を研究するプロデューサー、シンガーソングライターだったが、彼の声と歌の重みに押されてシン・スンフンの音楽的才能は隠れた。 こうした明暗の中で０６年に１０集を発表したシン・スンフンは頭を悩ませていた。


「デビュー当時、声が澄んで美しい珍しい歌手が出てきたと言われたが、今ではもう新鮮さはない。 実際、ボーカリストよりもシンガーソングライターとして認められたかったが、いつも自分の声とバラードという面だけが目立った。 今では声も新鮮な感じはない。 最近は自分が作曲した自分の曲に申し訳なく感じることも多い。 モダンロック、ラテン風の音楽など、いろいろな曲を試したが、‘またシン・スンフン・スタイルだ’という偏見に埋もれてしって…」

悩んだ末、シン・スンフンは１０集を発表をし、変身を予告した。 「１０集が自分の音楽人生のターニングポイントになるはずだ。 自分の音楽人生の第１幕が下りたとすれば、第２幕は全く新しい呼吸で行きたい」

その間、時々国内に入ってきたシン・スンフンの日本活動の話を除いて、彼は２年間、作業室に閉じこもっていた。 シン・スンフンにとって足かせとなってきた‘バラードの皇帝’というタイトルから抜け出し、自由な音楽旅行を試みた。 そして長い間の沈黙を破ったシン・スンフンは７日、３枚の連作プロジェクトアルバムの１枚目「ラジオウェーブ」（Ｒａｄｉｏ　Ｗａｖｅ）」を発表した。

「微笑に映った君」などヒット曲を後に足かせを解き、宇宙遊泳をする姿を表現したティーザー広告を通じて新しい音楽旅程を暗示した彼は、バラードではない「モダンロック」を披露した。 彼は大衆が感じる「驚き」を「逸脱」という言葉に変えた。

「正式アルバムという負担から抜け出してみると、新しい音楽に対する欲求が湧いてきた。 変身でなく逸脱といえばいいと思う。 こうした新しい挑戦を通して、今まで自分がしてきた音楽が新しい転機を迎え、自分のスタイルをさがすようだ。 同じバラードでも以前のバラードとは違うスタイルになるので…」



＜インタビュー＞‘国民歌手’シン・スンフン、初心に戻った音楽的逸脱（２）