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【社説】建軍60年「犠牲・名誉・国防」

今日は韓国軍が創設されてから60周年になる日だ。小銃1つ、弾丸1発すらも米国に頼っていた韓国軍が、今では国防費28兆ウォン(約2.5兆円)にのぼる世界第9位の先端軍に変貌(へんぼう)した。韓国戦争(1950~53年)の当時は、莫大な犠牲を通じて自由民主主義体制の守護に決定的な役割を遂行した。国連に加入以来、東ティモールなどで平和維持軍として活躍し、国際社会の平和維持にも寄与した。これが「正」の歴史ならば、「否」の遺産もなくはない。何よりも最も大きな害毒は政治への介入だった。一部「政治軍人」とはいうものの、軍の政治介入と無所不為(できないことは何もないという構え)の権力乱用は、国民に、軍に対する否定的な認識を植え付けるのに決定的な役割を果たした。「やれと言われたら、やれ!」という用語に象徴される低俗かつ威圧的な一部軍隊文化も指弾の対象となった。しかし1987年以降、軍の自浄と改革により、こうした毒素が徐々に消えつつあるのは幸いなことだ。

軍隊が存在する理由は、国家を防衛し国民の生命と財産を保護するところにある。そのためには、それに相応しい戦力を確保しなければならない。黒豹戦車(K-2)、F-15K戦闘機、イージス艦など先端兵器で武装した陸海空軍の戦力は相当なレベルだ。

今後、早期警戒管制機(AWACS)、無人偵察機などが導入されれば、はるかに向上されるだろう。しかし韓国の安保環境から考えて、ここで満足することはできない。深刻に悩まなければならない部分が1つや2つではないのだ。


ひとまず「実体的脅威」となっている北朝鮮が保有する核兵器だ。非対称兵器として通常戦力の先端化を一挙に色あせさせる北朝鮮の核脅威に、いかに取り組むかについて軍は熟考を重ねねばならない。中長期的には日本と中国の軍事力も挑戦となるほかない。日本の海軍力は韓国の3倍、空軍力は約5倍とされる。

独島(トクト、日本名・竹島)領有権をめぐる事態の悪化を視野に入れるべきだ。だからと言って韓国が北朝鮮のように、すべての資源を軍事力の建設に注ぎ込むわけにもいかない。どの程度の戦力確保が適正なレベルかについての用意周到な検討が求められる。

大国との軍事力のバランスは取ることができなくとも、攻撃された場合、相手に甚大な打撃を与えられるほどの準備はできてなければならない。戦争の勝敗には先端の兵器も肝要だが、士気という無形の戦力も大きな役割を果たす。軍人の士気は軍が名誉と自負心を持つときに生まれる。

このためには、ひとまず軍が社会から指弾されることがあってはならない。「国民のためなら、いつでも犧牲になる覚悟ができている頼もしい守護者」が軍隊だ、という点を国民の胸に刻みつけねばならない。

こうした犠牲に対しては、国民も感謝とともに、軍の名誉を尊重する姿勢を示すべきだ。政治権力が、政治的に中立を守るべき軍を思うままにしようとする悪習もなくならなければならない。「文民」が優先だが、軍の独立性も認めねばならないだろう。



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