|
当局が金委員長の日程を分析した結果だ。北朝鮮関連専門家の間では、心臓疾患、糖尿病などの持病を持っているとされる金委員長が66歳という年齢で平壌(ピョンヤン)を離れ「現場統治」に踏み切ったのが健康悪化の一因として働いたという推論が出ている。
当局が15日に伝えたところによると、金委員長は7月1日から先月14日までの45日間にわたり、軍部隊、農場、企業所などを訪問する現地指導などを25回も実施した。2日に1回以上、どこかで現場を督励していたということだ。その動線も北部の慈江道(チャガンド)から南部の江原道(カンウォンド)に至るまで全域を網羅する。
当局の分析によれば金委員長は7月初旬に平壌を発ち、北部の慈江道和坪郡(ファピョングン)の発電所に続き、翌日同道江界郡(カンゲグン)の食料工場を相次いで視察した。8日、故金日成(キム・イルソン)主席14周忌を迎えて平壌に戻り、錦繍山(クムスサン)記念宮殿を参拝した金委員長は、翌日、平安北道泰川郡(ピョンアンブクド・テチョン)の協同農場で「農業生産の画期的な転換」を呼びかけた。
8月に入ってからも1~6日のうち、5日間も軍部隊訪問を続けた。続いて北朝鮮東部の咸境道(ハムギョンド)、江原道での金委員長の公式活動が公開された。金委員長は同月8日、咸境南道咸州郡(ハムギョンナムド・ハムジュグン)の豚肉処理工場、ヤギ処理工場への訪問に続き、咸州郡北部にある利原郡(リウォングン)の山林経営所に現れた。
こうした日程から見て、金委員長は45日間にわたって北朝鮮北部の慈江道を皮切りに、東部の平安道、平壌を経由し、西部の江原道、咸境道を回っている。北朝鮮の労働(ロドン)新聞14日付が、金委員長の「領導」を強調し「将軍様は猛暑にもかかわらず人民のための現地指導の途で、瞬間の休息も取らなかった」と報じたほど、金委員長は現地指導に尽力した。
だが当局や北朝鮮関連専門家は、北朝鮮の交通システムが韓国に比べてきわめて劣悪だとしている。北朝鮮の道路舗装率は韓国(約10万キロメートル)の4分の1にあたる約2万5000キロメートルだ。そのため、金委員長は現地指導の際、鉄道を主に利用するが、鉄道も老巧化が深刻だというのが当局の評価だ。
国家安保戦略研究所のイ・キドン南北(韓国・北朝鮮)関係研究室長は「金委員長はセキュリティー問題などのためにヘリコプターを利用しないとされる」とし「平壌から数百キロメートルも離れている地方を訪問する日程を頻繁に消化するのが、年齢から考えて容易ではないのは当然だ」と話している。
当局によると、もちろん北朝鮮は金委員長の現場視察に最高の装備と医療陣を動員する。ある消息筋は「金委員長が鉄道で移動する際は、VIPを補佐する随行員まで乗せるために、数十両からなる特別車両が運営される」と説明した。
統一研究院の全賢俊(チョン・ヒョンジュン)研究委員は「金委員長の統治行為には、公開されていない日程が多数含まれているのを考慮しなければならない」とした後「無理な現地指導で倒れたと断定できないものの、厳しい現地指導の日程自体が健康悪化の理由のひとつになった可能性がある」という見方を示した。
昨年9月の南北首脳会談を控えて金委員長は江原道高山郡(コサングン)の訪問を最後に、17日間にわたる活動内容が公開されなかった。今回も金委員長は、8月14日の高山郡軍部隊への訪問が報じられたのを最後に、行動が伝えられていない。
この記事を読んで…