俳優アン・ジェファンさん（３６）が８日、遺体で発見されてから１週間が経った。最終的な捜査結果ではないが、警察はアンさんが練炭による一酸化炭素中毒で命を絶ったと推測している。

最近では練炭を用いて自殺するケースは珍しい。練炭が簡単に手に入らず、使用するのが難しいからだ。しかし先週は３人が練炭を用いて自殺している。残りの２人もアンさんと似た手法だった。

専門家はアンさんの自殺事件が発生したときから、ウェルテル効果を心配している。ウェルテル効果とは１７４４年にゲーテの小説『若きウェルテルの悩み』の影響を受け、まねして自殺するヨーロッパの若者が増加したことをいう。２００５年２月に映画女優のイ・ウンジュさんが自殺し、その後１カ月の自殺件数がほかの年の同期間よりも５８％も増加したという研究結果が出された。


最近、ウェルテル効果はマスコミ報道とインターネットにより拡大している。報道機関とインターネットが自殺方法の学習道具として利用されているからだ。アンさんの自殺も例外ではない。マスメディアは競ってアンさんの自殺を報じ、練炭の入手先まで公開したところもあった。一部のマスメディアは日本でこのような自殺が流行していると紹介している。インターネットのポータルサイトには「練炭中毒で死ねば、苦しくないですか」「自殺したいです」という文があふれている。これらの相当数が青少年の質問だった。このような文に自殺の方法を詳しく説明するコメントがほとんど書かれている。

自殺予防の関連団体に勤める人は自殺の方法を公開することを禁じられている。ソウル市広域精神保健センターのチョン・ジュンヒ危機管理チーム長は「自殺をまねることを誘発する可能性があるから」と話す。韓国は経済協力開発機構（ＯＥＣＤ）加盟国のうち自殺率が１位だ。自殺関連の情報を制限すれば、ネチズンが情報に自由にアクセスすることを妨げる恐れがある。しかし“不名誉な１位”から脱出するためには、自殺についての情報をどこまで閲覧可能にするのかという社会的議論がなされなければならない。自殺情報に無防備にさらされている青少年のためにも是非とも必要だ。