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明日から秋夕(チュソク)3連休の韓国。日本のお盆のように人々が故郷に帰ることから「民族大移動」と言われるほど、韓国中が慌しいこの時期。
親族が集い法事を開くので、準備をする人々で市場は大盛況です。これから市場に集う人々の顔を追いかけてみるとしましょう。
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「おじいちゃん今日はなんでこんなに人が多いの?」
「それはね、秋夕の連休が明日から始まるからだよ」
「秋夕って1日だけ?」
「うん、今年は14日が秋夕だけれど、毎年その前後が休みになるんだよ」
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「あちゃ~…これ全部さばけるかなあ…。いつもはレギンス売ってるオイラだけど、秋夕商戦の波に乗って1日栗屋さんとして『濡れ手に粟(アワ)』ならぬ『濡れ手に栗(クリ)』なんて考えてたんだけどなぁ。こりゃちょっと仕入れすぎたかなぁ…。」
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「左にかばん、右に買い物袋、そして真ん中には赤ん坊!これぞ育児と秋夕を両立するためのママチャリスタイルよ!この忙しい時期、ベビーカーで買い物なんて悠長なことはいってられないの!」
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「お義母さん、このお店で買うのが良いんですよ。味もいいし、安いじゃないですか」
「あんた、私が何十年ひいきにしてた店と縁を切るっていうの!?絶対、私の目利きの方が確かなんだから」
韓国の嫁姑関係も大変…。
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そんな嫁姑のケンカを避けるためか、こちらはお父さんがお買い物。「大きくなったら、ボクも買い物に行かなきゃいけないのかな。おかあさん、僕のお嫁さんと仲良くしてくれるかな…。ちょっと未来が憂鬱だな…」
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「専業主婦じゃなくて、夫婦一緒にお店で働けば、秋夕の時だって嫁姑の軋轢が回避できるよ。」なんて笑う若夫婦。確かに店が大忙しで「ウチの嫁が、姑が」なんていってる場合じゃないですものね。
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「おばあちゃん、買い物すんだらおやつ買ってくれるってたのに、まだ終わらないの?僕、果物よりアイスの気分なんだ。ブドウなんて、どれも大差ないんだから、さっさと選んでくれないかな…。」
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長女「1年に1回、秋夕前だけこうして3姉妹が集まるのよ」
次女「そうそう、『実家手伝うから…』とか言って逃げてくるのよね」
三女「家で秋夕の準備をお義母さんとするより、姉妹で気楽にお餅作ってる方が楽しいのよ。」
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「お米、おコメはいりませんか…。お餅なら売れるのに、お米は売れないのはなぜでしょう…、お米なんて駆け込みで買うものではないからでしょうか。今日も商売は上がったりなのです…。」
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「今日は出前が多くて大変だったよ。でも、この食器を下げてしまえば、お終いさ。さっさと店閉めて、私も自分の家の準備をしなきゃね。」
そう、市場を訪れる人にも、市場で働く人にも、等しく秋夕は訪れるのです。みんなが幸せな秋夕を過ごせますように!
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秋夕、ソウルに残る人あればソウルを出る人もあり。
地方出身の人たちによる帰省ラッシュが始まることで、KTXの発着駅や長距離バスのターミナルは早い時間から混雑していました。
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「去年まで2人で帰ってたのに今年は3人…幸せな秋夕だなあ」
「お義母さんもお義父さんもこの子の顔早くみたいみたいって言ってたものねえ…」
「バブー」
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「ソウルに上京してきて初めての秋夕、まさかあんなに早く釜山行きのKTXの乗車券が売り切れるとは思いませんでした。こうして『乗車券買います』のボードを出しても無しのつぶて…。母さん…秋夕はソウルで一人過ごすことになるかもしれないわけで…。」
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「父さん、駅でいきなり薪(たきぎ)を出されても…」
「娘よ、これは薪ではなくて、ユンノリという伝統的な遊びなのだよ。最近の学校では何も教えてくれないのかい…」
「父さん、教育は学校だけでするものじゃないでしょ、毎日早く帰ってきて父娘の交流をしてくれないと」とお母さん。
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こちらの高速バスターミナルも、全国各地の故郷に帰る人々で大にぎわい。光州、木浦、珍島…、手前のバスは韓国南西部行きのバスですね。全然進まない道路の渋滞もこの時期の風物詩です。
そして、残されたソウルは普段と違う静かな佇まいに。
「良い秋夕を過ごして、気をつけて帰って来るんだよ。行ってらっしゃ~い!」
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