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対北朝鮮情報関係者は12日、「金正日委員長の側近の女性に注視している」とし、今後の平壌(ピョンヤン)権力層で最も注目すべき人物に金玉氏を挙げた。 金玉氏は金委員長の私邸に住み、実質的に夫人としての役割をしている、というのが情報当局の判断だ。 このため、非正常的な状態にある金委員長を最も近くで補佐する核心人物に浮上している、とみている。
金玉氏は、金委員長の長男・正男(ジョンナム)氏(37)ら家族とともに最高指導者に自由に接近できる数少ない人物の一人だ。 特に病勢が好転して少しずつ執務を始める場合、金委員長の業務範囲の決定や核心人事の面談などを決める権限を行使すると予想されている。 情報関係者は「金委員長のそばにいる中国人民解放軍所属医療陣の診断結果や病勢に関する情報を最もよく把握できるのも金玉氏」と話した。
金玉氏は平壌音楽大学でピアノを専攻し、金正日書記室に入ったと伝えられている。 当初は分野別の業務を担当する書記の下で補助的な役割をしていたということだ。 北朝鮮情報に詳しい関係者は「金玉氏を金正日委員長のそばで補佐する女性に抜てきしたのは元夫人の高英姫(コ・ヨンヒ)氏(04年5月にフランスで治療中に死亡)と聞いている」と語った。 一部で提起されていた‘金玉氏と高英姫氏の葛藤説’は事実でないということだ。
これによると、がんで余命が短いと判断した高氏は、自分が産んだ2人の息子、正哲(ジョンチョル)氏(27)と正雲(ジョンウン)氏(25)を補佐する人物に金玉氏を指定した。 高氏は金玉氏を呼んで金正日委員長と一緒に食事をし、その後、家で一緒に住んでいたということだ。 最近、金玉氏が高氏の息子を後継者として後押ししているという説が出ているのも、こうした背景があるという説明だ。
金氏が韓国情報当局に確認されたのは2000年10月、米ワシントンでだ。 当時、金委員長の特使としてクリントン大統領に会った趙明禄(・チョ・ミョンロク)国防委第1副委員長に随行した代表団の中に、唯一の女性として金玉氏が含まれていた。 当時、金玉氏は‘キム・ソンオク’という仮名で活動した。
情報関係者は「韓米情報当局は彼女に注目していたが、特異な徴候は見られなかった」と話した。 金玉氏が大きな旅行用かばんを引いていた際、キャスターが引っかかったが、北朝鮮側代表団は手助けしなかったのを見て、特別な人物ではないという判断を下したという。
その金玉氏が金委員長の‘女性’に浮上したのは01年以後のことだと、情報当局は見ている。 国家安保戦略研究所のイ・キドン南北関係室長は「正常な継承過程なら金玉氏の役割は非常に小さいが、金委員長に何かが起きた状況なら、金玉氏の役割は重要になる可能性がある」と話した。 これと関連し、米海軍分析センター(CNA)のケン・ゴース局長は最近、自由アジア放送とのインタビューで「金委員長の健康が悪化する場合、最側近の金玉氏が金委員長に対する接近を統制し、自身が金委員長の代理人に出る可能性がある」と述べた。
◆「病後の決裁は金玉氏が担当」=日本経済新聞は12日、金委員長の発病後の決裁は金玉氏がすると、日本外務省幹部の話を引用して報じた。 同紙は「この幹部は『金委員長が倒れた後、金玉氏を通じて意思決定をしている』という見解を示した」と伝えた。
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