金メダルだけではない。 正寅さんは「月桂冠、賞状、記念切手など最も価値のある記念遺品が１２年間どう保管されているのか確認できずにいる。 すでに寄贈されたものなので遺族に所有権はないが、きちんと展示してほしいと思う」と話した。　

孫基禎記念財団側も孫基禎の寄贈品の国家返還を要求した。 孫基禎の孫のイ・ジュンスン財団事務総長は「祖父は金メダルと記念品を国に寄贈したのであって特定集団に譲ったのではない。 育英財団側が国に寄贈してくれると信じている」と明らかにした。 イ総長は「祖父は『自分が死んだら金メダルなどマラソン記念品を一つに集めて自分を記憶してほしい』と遺言した」と訴えた。

建国（コングク）大学のチェ・チョンラク教授（スポーツ科学大学）は「金メダルの放置は歴史を放置するようなものだ。 過去なしに今日はない。 金メダルは暗鬱だった日本植民地時代に韓国の歴史を振り返らせてくれた象徴物。 全国民が金メダルを見られるようにすべきだ」と話した。


▽朴槿令理事長「財団正常化すれば展示」

１９７９年５月、孫基禎が所蔵品を育英財団の児童会館に寄贈したことで、財団は最初の金メダルを保管してきた。 当時、「マラソンの金メダルを展示し、子どもたちに夢と希望を与えよう」という朴正煕（パク・ジョンヒ）大統領の趣旨に孫基禎が同意した。 しかし１９９０年１１月、当時のチェ・テミン育英財団理事の不正をめぐって朴槿恵（パク・クネ）・朴槿令姉妹が運営権争いを繰り広げ、問題が膨らんだ。財団の財政難で管理も難しくなった。 そして１９９６年から一般展示ができなくなった。

現在、最高裁判所の判決で財団資格を喪失した状態の朴元理事長は「私たちも金メダルの価値をよく知っている。 財団が正常化すれば必ず展示する」と明らかにした。 しかし国家返却主張に対しては「事後管理が十分でなかった点は申し訳ないが、遺族が要求するようにメダルを国に再寄贈することはできない」とし、拒否する意向を表した。



→メダルも置けなかった孫基禎の葬儀…息子・正寅さんに単独インタビュー（１）