タイの反政府デモが非常事態宣言を発令することになり、経済の不安が深刻化している。

混乱が長期化すれば、１９９７年のアジア通貨危機を引き起こしたタイ貨幣のバーツ暴落が再現する可能性もあるという分析も出ている。しかし約１万人の反政府デモ隊は３日、政府庁舎を占拠して９日目を迎えたままサマック首相の退陣を求めて反政府デモを行った。

サマック首相は非常事態宣言を発令後の２日、軍当局にデモ隊の解散を強制的に指示したが、軍首脳部はこれを拒否している。


デモを主導する市民民主主義連帯（ＰＡＤ）共同代表は３日、本紙とのインタビューで「サマック首相が退陣し、市民の参加が保障される民主政府が樹立されなければ、デモを続ける」と明らかにした。

３日、タイのＳＥＴ株価指数は前日に比べ、１．４５％下がった６４９．９３を記録した。年初よりも２１％が下落している。この日、米国ドルに対するバーツ貨幣の為替レートも前日（３４．４７）よりも上回る３４．６５を記録して上昇し続けている。

実物経済はさらに悪化している。タイの観光業界は今年の観光収入が当初の目標値である２０５億ドル（約２兆２３５５億円）の８～９％の水準である１４億７０００万～１７億６０００万ドルにとどまるものと予想している。現地のバンコク銀行やサイアム商業銀行などはバンコク中心部の支店（約２０カ所）を閉鎖している。