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落下傘が初めて実用的に使われたのは1802年フランスでのことだ。アンドレ・ジャック・ガルネランが1000メートルの高さから落下傘に乗って無事に飛びおりた。フランス革命義勇軍で、高い監獄に閉じこめられた彼が脱獄を夢見て落下傘を構想し、出獄後、これを現実に移したのだ。以後、落下傘は飛行機乗務員の救命具、脱出装備、降下装備、ひいてはスポーツレジャー用品にまで使われた。
第2次世界大戦は落下傘が軍用で本格活用された契機となった。ドイツのクレタ島侵攻、連合軍のノルマンディー上陸作戦初期に落下遊撃隊が大きな役割をした。空から集団で投下される落下傘のイメージは2次大戦関連記録映画や戦争映画を通じて大衆に広く知られた。
最近は「天下り人事」という言葉がよく使われる。権力上層部が要職に自分の部下たちを送り込む人事を意味する。フランスでも「parachutage」(落下傘)といえば権力エリートたちの閉鎖的なコースを意味する。国立行政学校やécoles polytechniquesを卒業し、高位公務員を経て民間企業の経営者へと進むことを「parachutage」という。
日本では空から下ったという意味の「天下り」があり、アメリカには「revolving door(回転ドア)人事」というのがある。revolving door人事といえば公職と企業を行き交う政治家たちをいう。公職者が以前に携わった部処と関連ある企業や利益団体のロビイストになる現象を意味する。
落下傘人事問題で汝矣島が騒々しい。政府は過去の政府の落下傘人事をなくすとし、鄭淵珠(チョン・ヨンジュ)KBS社長を電撃解任した。次期社長の有力候補だったある人は公募を断念することでまた新たな落下傘論難を解消した「殺身成仁」という自評まで発表した。しかし「落下傘」疑惑はなかなかなくならない見通しだ。青瓦台が、理事会が開かれる前に特定人事を有力候補に推挙するか、今月末まで社長人選に決着をつけるという発言を直接している。理事会を自ら脇役に仕立てていることを認める格好だ。
民主化以後、民主主義に頭を抱えた韓国社会が、急に手続き的民主主義の棄損を懸念する段階に急転落した。一体どこで誤ったのだろうか。
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