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<取材日記>鄭淵珠KBS社長、NHK会長を見よ

日本放送協会(NHK)は日本が誇る公営放送だ。

アナウンサーや出演者が使う放送用語はもちろん番組の方向とメッセージが公営放送として相応しいものかを最優先に考える。

いくら視聴者の視線を集める内容であっても公正性、道徳性、正確性のうち、ひとつでも損なうものならば放送をしない。このために商業放送(民間放送)に慣れている視聴者は時々「NHKはおもしろくない」と話すこともあるが、NHKの報道が他局の報道より公正かつ正確だという意見には隔たりがない。


こうしたNHKでもこれまで計3人の会長が任期を満了前、不名誉に辞任したことがある。

最初の不名誉辞任の主人公は島桂次会長だった。同氏は91年4月、米国で打ち上げに失敗した放送衛星をめぐり、国会で「放送衛星を打ちあげた当時、米ニュージャジー州のゼネラル・エレトリック・カンパニー(GE)にいた」と虚偽の答弁をした。

後になって島会長がロサンゼルスに滞在していたことが確認されると波紋が広がり、同氏は1週間後に会長職を引責辞任した。当時NHKの最高意思決定機関の経営委員会は島会長の辞任を引きとめた。しかし島会長は「私が国会で偽りの答弁をしたことで、公営放送に対する国民の信頼が底をついた。NHKを考えるならば私が退くのが正しい」とし立場を変えなかった。

2000年代に入っては職員の不正行為のために、会長が相次いで辞任しなければならなかった。97年から任期3年のNHK会長を3期連続して務めた海老沢勝二会長は、制作費の着服など職員の不正が浮き彫りになり、05年に辞職届を提出した。最初は「任期は満たす」としていたが、NHKに対する不信感の表明として視聴者の間に受信料不払いの動きが広がると、同氏は辞任した。

昨年はNHK報道局の記者ら3人が同僚の特ダネを用いて株式に投資した事件が発生した。同事件で橋本元一会長が今年1月、任期終了を3日後に控えて「責任を取る」として電撃辞任している。永井多恵子副会長も連座する形で副会長を引責辞任した。

NHKの反省は最高経営責任者(CEO)の辞任にとどまらなかった。子会社の30%削減と構造再編、賃下げ、番組の廃止--など高強度な経営計画案を作った。

半面、公営KBSテレビ(韓国放送公社)の鄭淵珠(チョン・ヨンジュ)社長の最近の出方は、NHK会長らとはあまりにも対照的だ。

KBSは鄭社長が在職する5年間経営悪化による過去最悪の累積赤字に直面し、04~07年に行った内部監査で公金横領など事件だけでも130件が指摘された。

諸理由から監査院は先週、鄭社長に辞任を要求し、KBS理事会は辞任要求の案まで決定した。ところが鄭社長はこれを拒否し法的対応を取る構えだ。

「視聴者の信頼を失った公営放送には居場所がない」という島会長の辞任時の言葉を振り返ってみるべき時点だ。



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