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スコットランド出身のアリス・ハーグリーブス。1995年K2で33歳の一生を終えた女性登山家だ。アルプスの巨壁をあまねく登攀し、女性としては初めて無酸素でエベレスト単独登頂にも成功している。彼女は別の登山隊が撤収するときも1人残った。そして黒い色のK2を登り始めた。K2頂上から下るとき、北から真っ黒な雲が近付いてきた。時速160キロを超す暴風が半日間吹き荒れた後、彼女は消えた。ハーグリーブスには7歳の息子と4歳の娘がいた。「ママの山が見たい」パパは1カ月後、子供たちの手を握り、ママのそばを訪れた。彼らがベースキャンプに触れた日、K2は久々に奇跡のように姿を現す。「本当に美しい。ママを理解することができる。今になってみるとわかる気がする…」<『ママの最後の山 K2』、ジェイムズ・バラード>
おととい、K2で韓国人登山家3人が死亡した。巨大な氷壁が崩れ、固定ロープとザイルまでいっぺんに吹き飛んだ。K2から下って韓国人3人が死亡した86年の悪夢が再現された。しかし、若い山岳家は今日も命をかけて山に登る。パク・ポムシンの小説『チョラツェ』で、ざっとその理由を探れるか。主人公の兄弟はクレバスや険しい山をくぐってついにエベレストの隣の チョラツェ頂上に登る。濃い霧に包まれ、見えるのは一面ぼやけた世の中だけだ。それでもヒマラヤにすっかりはまったパク・ボムシンは問い返す。「若い人々が夢と命運を全部投げ打ってみるに値する理想のない世の中、そんな一生は寂しい。誰も心の中にチョラツェひとつくらい抱いて生きていかなければならないじゃないのか」
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