◇韓米関係
李洪九=韓米自由貿易協定(FTA)が議会での批准で難航している。 韓米FTAはアジア国家と米国の初めてのFTAであり、北米自由貿易協定(NAFTA)以降、最大規模のFTAでもある。 期待半分、憂慮半分という状況だ。
ビライター=現在、米国では保護貿易主義の動きが出てきている点に注目しなければならない。 米国市民が職場を失っている状況で、政治家らはFTAに対して否定的な意見を抱くようになっている。 少なくとも新しい大統領が就任する来年1月までは批准は難しいと見ている。 しかし韓米両国が長い時間をかけて準備してきた問題であり、合理的な結論が出るものと信じている。 大統領選挙の候補らは優秀なので、韓米FTAの利点をよく判断していると考えている。
李洪九=米国-コロンビア間のFTAも議会で引っかかっている。
ビライター=そうだ。 韓米FTAが難航しているのは、韓国との間に問題があるからではない。 全般的にFTAというものが順調には進まないということだ。
李洪九=韓米関係のもう一つの重要な問題である北朝鮮核問題と関連し、6カ国協議を中心に進展もあったが、果たして完璧な問題解決にいたるかどうかという憂慮がある。
ビライター=北朝鮮と交渉をするということがどれほど難しいかがよく分かる。 韓国人は忍耐心を持って寛大な態度を見せてきた。 果たして北朝鮮が核に対する野望を完全にあきらめるだろうか、という疑いは相変わらず存在する。 さらに日本の場合は拉致問題があり、韓国も最近、金剛山(クムガンサン)観光客射殺事件を経験した。 それでも6カ国協議は続ける価値がある。 6カ国協議を単純に北朝鮮核問題に限定するのではなく、最終的には政治・社会的問題をも含めたフォーラムのような形に変えていくのがよいと思う。 もう一つ念頭に置かなければならない点は、北朝鮮核問題が韓国と米国の不和を起こすきっかけとして働いてはいけないという点だ。 交渉で韓国を排除する印象を与えることは絶対にいけない。
李洪九=仮に北朝鮮が1-2基の核兵器を保有することになれば、力の均衡問題で非常に深刻な問題が発生する。 米国・韓国・日本が緊密に連携し、中国とも協力しなければならない。
ビライター=そうだ。 韓米日3カ国の協調が重要だ。 また中国がこれまでしてきた重要な役割も評価しなければならない。
李洪九=韓米同盟の問題はどう考えているのか。
ビライター=韓国が米国の重要な同盟国であるという点に変わりはない。 韓国は民主主義を劇的に発展させた立派な事例だ。 ただ、軍事同盟の側面では変化がある。 韓国もその間、戦力を増強した。米国は韓国と日本の代わりに、米国の領土であるグアムを中心に兵力配置を再編する動きを見せている。 しかしこれを韓国の安保を脅かす要素と理解してはならない。 韓米同盟の自然な進化だと見るべきだろう。
李洪九=最近、韓国の民主主義は新たな段階に入っているようだ。 インターネットの発達とともに若い世代が街に出てデモを行い、新しい意味での参加民主主義が登場している。これは伝統的な政治制度にも圧力を加えている。
ビライター=インターネットと通信を通じて大規模な人員が動くというのは世界各地で起きている新しい現象だ。 長所と短所が共存し、こうした動きは防ごうとしても防げない。 こういう変化が参加民主主義にどんな意味があるのか一緒に考えなければならない。
李洪九=韓国と米国は長い間の民主同盟国として一緒に悩んでいけると思う。
◇ダグラス・ビライター(Douglas Bereuter、68)=26年間、米下院議員を務めた後、04年9月、アジア財団総裁に就任した。 下院議員当時、6年間にわたり国際関係委員会の副委員長とアジア・太平洋小委員長を務めた。 米大統領特使として第42回国連総会に出席した。 ネブラスカ大を卒業した後、ハーバード大で都市計画および公共行政学の複数専攻で修士学位を取得した。
◇アジア財団(The Asia Foundation)=本部は米国サンフランシスコにあり、韓国を含むアジア17カ国および米ワシントンDCに支部を置く。 年間総予算規模は1億ドル。 米国議会・政府はもちろん、国際機関、世界各国の支援で運営されている。 1954年の設立と同時に韓国支部を設置し、07年までに計4000万ドル(現在の価値で9700万ドル)を支援した。 印刷用紙普及、図書寄贈、女性権益強化事業などを繰り広げた。 これまで約3000人にのぼる韓国の政府・学界・メディア界関係者がアジア財団の支援で国際交流・海外研修プログラムを経験している。 現在、韓国支部は北朝鮮支援事業およびアジア開発途上国支援事業などを行っている。
<対談>「米国内に保護貿易主義が台頭…韓米FTAは期待と憂慮」(1)
<対談>「米国内に保護貿易主義が台頭…韓米FTAは期待と憂慮」(2)
李洪九=韓米自由貿易協定(FTA)が議会での批准で難航している。 韓米FTAはアジア国家と米国の初めてのFTAであり、北米自由貿易協定(NAFTA)以降、最大規模のFTAでもある。 期待半分、憂慮半分という状況だ。
ビライター=現在、米国では保護貿易主義の動きが出てきている点に注目しなければならない。 米国市民が職場を失っている状況で、政治家らはFTAに対して否定的な意見を抱くようになっている。 少なくとも新しい大統領が就任する来年1月までは批准は難しいと見ている。 しかし韓米両国が長い時間をかけて準備してきた問題であり、合理的な結論が出るものと信じている。 大統領選挙の候補らは優秀なので、韓米FTAの利点をよく判断していると考えている。
李洪九=米国-コロンビア間のFTAも議会で引っかかっている。
ビライター=そうだ。 韓米FTAが難航しているのは、韓国との間に問題があるからではない。 全般的にFTAというものが順調には進まないということだ。
李洪九=韓米関係のもう一つの重要な問題である北朝鮮核問題と関連し、6カ国協議を中心に進展もあったが、果たして完璧な問題解決にいたるかどうかという憂慮がある。
ビライター=北朝鮮と交渉をするということがどれほど難しいかがよく分かる。 韓国人は忍耐心を持って寛大な態度を見せてきた。 果たして北朝鮮が核に対する野望を完全にあきらめるだろうか、という疑いは相変わらず存在する。 さらに日本の場合は拉致問題があり、韓国も最近、金剛山(クムガンサン)観光客射殺事件を経験した。 それでも6カ国協議は続ける価値がある。 6カ国協議を単純に北朝鮮核問題に限定するのではなく、最終的には政治・社会的問題をも含めたフォーラムのような形に変えていくのがよいと思う。 もう一つ念頭に置かなければならない点は、北朝鮮核問題が韓国と米国の不和を起こすきっかけとして働いてはいけないという点だ。 交渉で韓国を排除する印象を与えることは絶対にいけない。
李洪九=仮に北朝鮮が1-2基の核兵器を保有することになれば、力の均衡問題で非常に深刻な問題が発生する。 米国・韓国・日本が緊密に連携し、中国とも協力しなければならない。
ビライター=そうだ。 韓米日3カ国の協調が重要だ。 また中国がこれまでしてきた重要な役割も評価しなければならない。
李洪九=韓米同盟の問題はどう考えているのか。
ビライター=韓国が米国の重要な同盟国であるという点に変わりはない。 韓国は民主主義を劇的に発展させた立派な事例だ。 ただ、軍事同盟の側面では変化がある。 韓国もその間、戦力を増強した。米国は韓国と日本の代わりに、米国の領土であるグアムを中心に兵力配置を再編する動きを見せている。 しかしこれを韓国の安保を脅かす要素と理解してはならない。 韓米同盟の自然な進化だと見るべきだろう。
李洪九=最近、韓国の民主主義は新たな段階に入っているようだ。 インターネットの発達とともに若い世代が街に出てデモを行い、新しい意味での参加民主主義が登場している。これは伝統的な政治制度にも圧力を加えている。
ビライター=インターネットと通信を通じて大規模な人員が動くというのは世界各地で起きている新しい現象だ。 長所と短所が共存し、こうした動きは防ごうとしても防げない。 こういう変化が参加民主主義にどんな意味があるのか一緒に考えなければならない。
李洪九=韓国と米国は長い間の民主同盟国として一緒に悩んでいけると思う。
◇ダグラス・ビライター(Douglas Bereuter、68)=26年間、米下院議員を務めた後、04年9月、アジア財団総裁に就任した。 下院議員当時、6年間にわたり国際関係委員会の副委員長とアジア・太平洋小委員長を務めた。 米大統領特使として第42回国連総会に出席した。 ネブラスカ大を卒業した後、ハーバード大で都市計画および公共行政学の複数専攻で修士学位を取得した。
◇アジア財団(The Asia Foundation)=本部は米国サンフランシスコにあり、韓国を含むアジア17カ国および米ワシントンDCに支部を置く。 年間総予算規模は1億ドル。 米国議会・政府はもちろん、国際機関、世界各国の支援で運営されている。 1954年の設立と同時に韓国支部を設置し、07年までに計4000万ドル(現在の価値で9700万ドル)を支援した。 印刷用紙普及、図書寄贈、女性権益強化事業などを繰り広げた。 これまで約3000人にのぼる韓国の政府・学界・メディア界関係者がアジア財団の支援で国際交流・海外研修プログラムを経験している。 現在、韓国支部は北朝鮮支援事業およびアジア開発途上国支援事業などを行っている。
<対談>「米国内に保護貿易主義が台頭…韓米FTAは期待と憂慮」(1)
<対談>「米国内に保護貿易主義が台頭…韓米FTAは期待と憂慮」(2)
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