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実際、大腸菌ほど誤解を受けている細菌も珍しい。 漠然と「健康に悪いだろう」と考えられている。 しかし大腸菌は小腸から降りてきた食べ物を分解してビタミンKを作り、ビタミンBの吸収を助ける有益な細菌だ(キャサリン・クレン著『天才たちの科学ノート』)
大腸菌は名前からも分かるように大腸にある。 用便の後、手をきれいに洗わなければこの細菌がつく。 したがってある食品から大腸菌が検出されたというのは、その食品が非衛生的に取り扱われたという間接指標となる。 まだ多くの食品で大腸菌の数を規制している理由だ。
大腸菌は基本的に無害だが、1980年代初めに生意気なやつらが現れた。 これを別に病原性大腸菌と呼ぶ。 最近、米国で大規模リコール事態を招いたO-157菌もこの中の一つだ。 温順な大腸菌の中の極めて一部がなぜ暴悪になったのかはまだよく分かっていない。
米国政府はO-157菌のため頭を悩ませている。 2000年には7万3000人が感染し、61人が命を失った。 消費者団体の反対にもかかわらず、2001年に米国農務省が牛肉の粉砕肉に対する放射線照射(殺菌目的)を認めたのもこの細菌のためだ。
1996年には日本でも1万人余が感染し、10人が死亡した。 国内では2000年に初めて患者が発生して以来これまで3人が死亡した。
O-157菌は食品公典で食中毒菌に分類されているが、伝染病菌の性格も持つ。 食中毒と伝染病を分ける基準は人と人の間の伝播だ。 人に移れば伝染病、自分だけが患えば食中毒だ。 O-157菌は1グラム当たり1000個程度でも感染するほど伝染力が強い。 症状も赤痢と似ている。疾病管理本部がO-157菌を第1群伝染病と規定したのはこのためだ。
韓国人はとりわけO-157菌や赤痢菌に強いと伝えられている。 日本でO-157菌が全国的に広まった当時も、在日同胞が感染した事例はほとんどなかった。 キムチ・トウガラシ・ニンニクなど辛い食べ物に含まれた抗菌成分が殺菌作用をしたためという仮説がある。 さらに上O-157菌は大腸菌の一種だ。 大腸菌は熱に弱い。 食べ物をよく加熱し、手洗いなどの個人衛生に留意すれば、いくらでも防げる病気だ。
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