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8.4平方キロメートルは、汝矣島周辺の漢江(ハンガン)の中間までをも含むソウル永登浦区(ヨンドゥンポグ)汝矣島洞の管轄区域の広さだ。 2.95平方キロメートルの場合、汝矣島を囲む堤防内の広さだけをいう。 面積を比較する場合は2.95平方キロメートルが正しいが、相変わらず8.4平方キロメートルも使われている。
英国の生物学者リチャード・ドーキンスは32年前、『利己的な遺伝子』という本で「ミーム(meme)」という概念を唱えた。ミームは簡単に言うと文化的遺伝子だ。 誕生日の歌、正月の祭祀の方法などのように、読んで聞いて習って広まっていくものをいう。 汝矣島の面積は2.95平方キロメートルというのも、一つのミームと見なすことができる。
ミームという言葉は遺伝子を意味する「gene」にちなんだものだ。 正しいミームであれ、誤ったミームであれ、一度使われれば遺伝子を持つ生物体のように広がる。 自ら複製する能力を持っているかのように見える。
この3カ月間、韓国社会は自身を複製する3つのことに振り回された。 まずは鳥インフルエンザウイルス。 ウイルス自体は生命のない粒子だが、鶏・鴨の細胞に侵入し、その細胞を利用して自身のDNAを複製する。DNAに突然変異が生じたり交わったりすると危険なH5N1型ウイルスが出てくる可能性もある。
2つ目は米国産牛肉安全論議の原因であるプリオンだ。 プリオン自体は人と牛の脳中に常に存在するたんぱく質だが、一度変形プリオンが入ってくると正常なプリオンも変形プリオンになる。 DNAでもないたんぱく質の変形プリオンが自身を複製したようになる。 変形プリオンは牛海綿状脳症(BSE)を引き起こす。
3つ目がミームだ。 水道事業が民営化すれば水代が1000倍も急騰するという「水道水怪談」、BSEに関する情報とともに、恐怖もインターネットを通して広まったミームだった。
ミームの本場の英国では最近、インターネットの情報流通をめぐる論議が広がっている。 スコットランドの中学校卒業資格試験の合格率が落ちたのは、オンライン百科事典「ウィキペディア」の一部の誤った情報をそのまま信じたからだという。 誰でも関連知識を自由に編集・修正できるため、不正確であったり意図的に歪曲された情報が含まれたりする可能性がある、という心配は以前からあった。
DNAが誤って複製されれば突然変異やがんが生じる。 プリオンが変わればBSEが生じる。 誤ったミームは社会に大小の害悪を流す。 インターネット時代、ミームは以前に比べてはるかに速いスピードで複製される。 インターネットが信頼の空間として残り続けるためには、誤ったミームを作らないというネチズンの努力が伴わなければならない。
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