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キューバの共産政権を転覆しようとしていた中央情報局(CIA)はキューバ出身亡命者1400余人を‘民兵隊’として訓練し、ピッグス湾に上陸させた。 しかし侵攻軍は作戦を一度も計画通りに展開できず潰滅した。 捕虜1179人は翌年、5000万ドル相当の食品・医薬品との交換条件で解放された。
結果的に見れば、侵攻作戦は各段階で誤った仮定をしていた。 キューバ軍は慌てて右往左往し、相当の数が投降して民兵隊に呼応する民衆蜂起が起き、カストロ政権が崩壊する、というようにだ。
米国最高のエリートらが集まった国家安保会議でなぜこのようなでたらめな決定が、それも全員一致で下されたのか。
エール大の心理学者アービング・ジェニスはこの事件を分析した後、集団構成員が合理的な決定を出せなくする、歪曲された思考方式を‘集団思考(Groupthink)’と命名した。 集団思考は「凝集力が強い集団の構成員が何か現実的な判断を下す際、全員一致を成し遂げようとする思考の傾向」と定義した。
こうした集団は、自分の集団の道徳性を盲信しながら無敵の集団と錯覚し、これによって行き過ぎた楽観と無謀さに陥る。 また自分たちの考えと合わない事実は無視し、内部の反対意見は暗黙的に抑圧する。 競争集団は邪悪で惰弱で愚かな存在として蔑むという点も挙げられる。 政策を選択する際は代案と目標の調査がずさんになり、選択案を再点検せず、棄却された代案は廃棄してしまい、情報は適当に収集して選択的に処理し、状況の変化に適応できない。
どうだろうか。 米国産牛肉の輸入と関連した李明博(イ・ミョンバク)政府の形態をほぼそのまま説明しているようではないだろうか。 最初から交渉はいい加減に行い、ろうそく集会は邪悪な背後勢力の操作に愚かな国民が付和雷同したものと考え、悪化した世論を収拾するための追加交渉や人的刷新などの措置は2歩も遅れた格好となっているのがそうだ。 内閣と青瓦台(チョンワデ、大統領府)が‘カン・ブジャ(江南―不動産―富者)’‘コ・ソヨン(高麗大学―ソマン教会―嶺南)’という同質的集団で構成されている点も同じだ。
ジェニスは集団思考に対する代案として、事案を公開的に議論し、事案を検討する集団自体を二元化する方法、そして提起された主張を批判する‘悪魔の代弁者(Devil’s advocate)’を置く方法を提案した。 このうち‘悪魔の代弁者’は、‘反対専門首席秘書官’を新設し、優先的に現実化できるものではないかと思う。
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