政府は米国側と「30カ月以上の米国産牛肉の輸入を防ぐ確実な民間自律規制案」を協議中だが、ろうそく集会を続ける市民と野党3党の‘再交渉’の声は消えていない。再交渉が行われてこそ、ろうそく集会を中断し、議事堂に戻るということだ。
米側との再交渉の方向へと向かいつつあった政府は6日、「再交渉がより大きな問題を招きうる」とし、事実上の‘再交渉不可’方針を明確にした。野党は「国民への宣戦布告だ」とし、強く批判した。
政府が世論にもかかわらず、再交渉を避ける理由は何か。得るものに比べ、支払うべき費用や後の影響が少なくないからだ。
崔源穆(チェ・ウォンモク)梨花(イファ)女子大教授(法学部)は「再交渉は理論的に可能で、実際にできること」とし「問題は、再交渉をすれば全面的に韓国側の損失となるので、しないほうがよいということだ」と説明した。
5月18日に妥結した新しい牛肉衛生検疫条件の合意は、両国が署名したものだ。再交渉に入れば文案を破棄し、最初から作り直さなければならない。
米国が全年齢の牛肉の完全開放(OIE基準)を目標に他国との交渉を進めている状況で、韓国のデモ隊や野党が要求する水準に合わせるのは容易でない。
崔教授は「再交渉では、当初の合意に比べて相手側が譲歩する場合、われわれが代わりに譲歩するものがなければないが、牛肉交渉でわれわれが譲れるものはない」とし、「牛肉交渉は進まなくなり、結局は米国で起きている韓米自由貿易協定(FTA)再交渉論に力を与えることんある」と話した。
米国も政治的な風が吹く大統領選政局だ。FTA再交渉に進む場合、韓国の主力商品である自動車項目の修正が避けられなくなり、FTA妥結が座礁することも考えられる。
合意に達しないまま30カ月以上の牛肉輸入を防ぐ場合、米国が世界貿易機関(WTO)に提訴する可能性もある。自国内の検疫システムがOIE基準よりも厳格な日本とは違い、充実した検疫システムを持たない韓国は、結局、敗北するしかない。
韓国側が敗訴すれば、30カ月以上の牛肉の輸入を防いでいる措置を解除しなければならず、米国は韓国の主力輸出品である携帯電話や鉄鋼・自動車に報復関税を課すことになる。合意破棄の提供者が韓国だからだ。
国際通商舞台で韓国の信頼が落ちるのは大きな問題だ。
安德根(アン・ドックン)ソウル大国際大学院教授は「これまでも韓国は、対外的に合意した後、国内政治的な状況を理由に規定を変えてきたため、常習犯として認識されている」と話した。
「物を買った後、まけてくれといような行為を繰り返してきたため、相手側は交渉の序盤から合理的なラインではなく、過度な最大値の交渉案で圧迫してくることになる」と指摘した。
現在進行中の欧州連合(EU)とのFTA交渉、日本・中国とのFTA交渉にも悪い影響を及ぼす、ということだ。WTOルールが変わらない限り、再交渉は損失にしかならないという論理だ。
一部の人は、98年の金大中(キム・デジュン)政権発足直後、訪日前に急いで妥結した韓日漁業協定を類似例に挙げている。
しかし崔源穆教授は「今回の件は漁業協定と比較できない」と述べた。漁業交渉はギブ・アンド・テイクだったので可能だったが、牛肉問題はあまりにも一方的な問題であり、ハッピーエンドにはならない、ということだ。
安教授は「再交渉ではないが、89年のグレープフルーツ発がん物質波紋が現状況と似た局面だった」と紹介する。
89年6月、ある消費者団体が輸入グレープフルーツの検査を国立農薬研究所に依頼した結果、皮と果肉から「Alar」という農薬がそれぞれ0.5ppm以下で検出された、と公開した。
韓国はグレープフルーツの通関を保留した。市場で消費は急減し、輸入も中断された。
安教授は「当時の技術では0.5ppm以下の農薬残留量を測定するのは不可能だったが、単純に‘0.5ppm以下検出’と発表した」と話した。
米国は6年後の95年にWTOが発足すると、直ちに提訴し、韓国政府は全面輸入再開措置を取らなければならなかった。
2000年に発生した中国産ニンニク問題も似た例だ。ニンニクの価格が暴落したことで政界の声が高まり、結局、セーフガードを発動した。
600万ドル規模のニンニク輸入を防ごうとしたが、中国側の報復措置でその100倍を超える5億ドル規模の対中国輸出が打撃を受ける危機を迎えた。守勢に立った韓国は交渉で「セーフガードを延長しない」と合意するに至った。
崔教授は「すでに交渉した内容に納得できないからといって、その反動で明らかに韓国側に不利益になる感情的な解決法を追求してはならない」と強調した。
★ 関連記事 ブッシュ米大統領「30カ月以上の牛肉輸出しないよう措置」
米側との再交渉の方向へと向かいつつあった政府は6日、「再交渉がより大きな問題を招きうる」とし、事実上の‘再交渉不可’方針を明確にした。野党は「国民への宣戦布告だ」とし、強く批判した。
政府が世論にもかかわらず、再交渉を避ける理由は何か。得るものに比べ、支払うべき費用や後の影響が少なくないからだ。
崔源穆(チェ・ウォンモク)梨花(イファ)女子大教授(法学部)は「再交渉は理論的に可能で、実際にできること」とし「問題は、再交渉をすれば全面的に韓国側の損失となるので、しないほうがよいということだ」と説明した。
5月18日に妥結した新しい牛肉衛生検疫条件の合意は、両国が署名したものだ。再交渉に入れば文案を破棄し、最初から作り直さなければならない。
米国が全年齢の牛肉の完全開放(OIE基準)を目標に他国との交渉を進めている状況で、韓国のデモ隊や野党が要求する水準に合わせるのは容易でない。
崔教授は「再交渉では、当初の合意に比べて相手側が譲歩する場合、われわれが代わりに譲歩するものがなければないが、牛肉交渉でわれわれが譲れるものはない」とし、「牛肉交渉は進まなくなり、結局は米国で起きている韓米自由貿易協定(FTA)再交渉論に力を与えることんある」と話した。
米国も政治的な風が吹く大統領選政局だ。FTA再交渉に進む場合、韓国の主力商品である自動車項目の修正が避けられなくなり、FTA妥結が座礁することも考えられる。
合意に達しないまま30カ月以上の牛肉輸入を防ぐ場合、米国が世界貿易機関(WTO)に提訴する可能性もある。自国内の検疫システムがOIE基準よりも厳格な日本とは違い、充実した検疫システムを持たない韓国は、結局、敗北するしかない。
韓国側が敗訴すれば、30カ月以上の牛肉の輸入を防いでいる措置を解除しなければならず、米国は韓国の主力輸出品である携帯電話や鉄鋼・自動車に報復関税を課すことになる。合意破棄の提供者が韓国だからだ。
国際通商舞台で韓国の信頼が落ちるのは大きな問題だ。
安德根(アン・ドックン)ソウル大国際大学院教授は「これまでも韓国は、対外的に合意した後、国内政治的な状況を理由に規定を変えてきたため、常習犯として認識されている」と話した。
「物を買った後、まけてくれといような行為を繰り返してきたため、相手側は交渉の序盤から合理的なラインではなく、過度な最大値の交渉案で圧迫してくることになる」と指摘した。
現在進行中の欧州連合(EU)とのFTA交渉、日本・中国とのFTA交渉にも悪い影響を及ぼす、ということだ。WTOルールが変わらない限り、再交渉は損失にしかならないという論理だ。
一部の人は、98年の金大中(キム・デジュン)政権発足直後、訪日前に急いで妥結した韓日漁業協定を類似例に挙げている。
しかし崔源穆教授は「今回の件は漁業協定と比較できない」と述べた。漁業交渉はギブ・アンド・テイクだったので可能だったが、牛肉問題はあまりにも一方的な問題であり、ハッピーエンドにはならない、ということだ。
安教授は「再交渉ではないが、89年のグレープフルーツ発がん物質波紋が現状況と似た局面だった」と紹介する。
89年6月、ある消費者団体が輸入グレープフルーツの検査を国立農薬研究所に依頼した結果、皮と果肉から「Alar」という農薬がそれぞれ0.5ppm以下で検出された、と公開した。
韓国はグレープフルーツの通関を保留した。市場で消費は急減し、輸入も中断された。
安教授は「当時の技術では0.5ppm以下の農薬残留量を測定するのは不可能だったが、単純に‘0.5ppm以下検出’と発表した」と話した。
米国は6年後の95年にWTOが発足すると、直ちに提訴し、韓国政府は全面輸入再開措置を取らなければならなかった。
2000年に発生した中国産ニンニク問題も似た例だ。ニンニクの価格が暴落したことで政界の声が高まり、結局、セーフガードを発動した。
600万ドル規模のニンニク輸入を防ごうとしたが、中国側の報復措置でその100倍を超える5億ドル規模の対中国輸出が打撃を受ける危機を迎えた。守勢に立った韓国は交渉で「セーフガードを延長しない」と合意するに至った。
崔教授は「すでに交渉した内容に納得できないからといって、その反動で明らかに韓国側に不利益になる感情的な解決法を追求してはならない」と強調した。
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