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<環境キャンペーン>5時間充電で60キロを快走

夢の電気自動車、商用化目前



米シカゴ付近のうっそうとした森の中にあるアルゴン国立研究所(ANL)を訪ねた先月30日。


ある化学工学研究室で5~6人の研究員が独特な形の赤い乗用車をめぐり議論を戦わせていた。

車両の後方に積んだ大きなバッテリーと太い電気ケーブルが外部の装置につながっているのが目を引いた。数年以内に最先端の自動車として脚光を浴びる「プラグイン・ハイブリッドカー(PHEV=Plug-In Hybrid Electric Vehicle)」だった。

米国初の国立研究所の同所では、スーパーコンピューターからエイズ(後天性免疫不全症候群)の治療薬開発に至るまで数百件の研究が一度に行われている。しかし広報担当のバウラクさんは「原油価格が高騰しているせいか、最近最も脚光を浴びている分野は代替エネルギーだ。特に次世代自動車プロジェクトが最大の関心事だ」と話した。

その中でも実用化を目前に控えているPHEVプロジェクトは、同研究所が最も力点を置く事業だ。次世代電気自動車として注目を集めているPHEVの特徴は家庭用のコンセントから充電できるという点だ。家庭で5時間ほど充電すれば、60キロを電力で走れるという。

現在、市販中のトヨタ自動車「プリウス」など従来のハイブリッドカーとは異なる。これまでのハイブリッドカーは、従来のエンジンで走って発生する電気を集めた後、必要なときに電気でモーターを駆動する方式を採択している。ガソリンで動かすエンジンが主な動力源で、電気モーターはサポートする役割にとどまる。

しかしPHEVは反対だ。基本的に電気モーターで走り、電力が完全に消耗されたり丘など大きな力が必要とされる場合のみ、エンジンを駆動させる。モーターが基本でエンジンが後押しする方式だ。

燃料物質研究チームのスミス博士は「内燃機関のエンジンの場合、熱で浪費する部分が多く、エネルギーの活用率が40%にとどまるが、電気モーターは90%を上回る」とし「PHEVが実用化すれば排ガスの削減はもちろん、さらに大幅な省エネ効果が期待できる」と語った。

こうしたメリットあるにもかかわらずPHEVが実用化されなかった理由はバッテリーのためだった。十分な力で自動車を60キロほど走らせるためには長持ちする高性能なバッテリーが必須だ。しかし従来のハイブリッドカーに使うニッケル水素電池では力不足だった。

それでアルゴン研究チームは、性能は非常に優れていながらも安全性の面で劣るリチウムイオン電池を大幅に改善する方法で同問題を解決した。リチウムイオン電池の寿命はニッケル水素電池より倍も長い。

アルゴン研究所が力を入れるもうひとつプロジェクトは、公害が全くない水素自動車の開発だ。水素自動車は液体水素を「燃料電池(Fuel Cell)」にして得る電力で走る。液化水素(H2)を電気化学反応によって酸素(O2)と結合させれば、水(H2O)とともに電力が発生するのだ。

化学工学研究チームのディジア・リュー博士は「毎日電気を充電する必要がなく、ガソリンを入れるように液化水素を注入するだけ」と説明した。問題は燃料電池に用いられる物質が途方もなく高価なプラチナだという点。このため燃料電池を用いた液体水素自動車が広く普及するまでには少なくない難関を突破しなければならない。

◇アルゴン国立研究所(Argonne National Lab)=600万平方メートルの敷地に位置する米初めての国立研究所。米エネルギー省傘下研究所の中では最大の規模で、エネルギー技術の開発や研究を主な業務とする。年間予算は5億ドル(約530億円)。付近のシカゴ大で初めて原子核分裂の連鎖反応の制御に成功し、ノーベル賞を受賞した物理学者、エンリコ・フェルミ博士が1942年に設立した。アルゴンという名前は同地の森の名称から取ったもの。3人のノーベル賞受賞者が同研究所に勤め、現在は博士およそ700人など約2800人が勤務している。米国では唯一原子炉を設計できる機関とされる。



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