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<石油価格高騰>原油高の影が町の銭湯を襲う

ソウル陽川区新月洞(ヤンチョング・シンウォルドン)で20年間銭湯を経営しているシム・ハクヨンさん(64)は最近、店を売却するために不動産業者に仲介を頼んだ。急騰する原油価格に耐えられないからだ。

4-5年前までも200万ウォン(約20万円)ならば、冬季に1カ月を使える6000リットルの暖房用の灯油を買うことができた。しかし最近は3分の1の10ドラムしか買えない。2階建ての大型銭湯(707.4平方メートル)の場合、1日の利用客は50人未満で、例年の半分程度に減った。1月400万-500万ウォンの赤字を出している。シムさんは「5-6年前にチムジルバン(韓国式サウナ)が登場したときも大変だったが何とか耐えたのに…」と言葉を濁した。

◇休んでしまう方が利益=ガソリンと軽油の価格が1リットル=2000ウォンを突破し、銭湯、チムジルバン、貸切バスなど石油をたくさん使う業界は困っている。「原油高の津波」といわれるほど、休業・廃業する業者が続出している。韓国銭湯業界中央会によると、今年1月から5月下旬現在までソウルで閉業した銭湯はおよそ100店にのぼる。


4-5月の2カ月間、麻浦(マポ)支部では4-5店、江西(カンソ)・陽川支部では3店がそれぞれ廃業した。軽油を使う灯油ボイラー設備の銭湯が全体の5-6割に達し、原油高の直撃を受けたわけだ。中央会関係者は「最近、各支部当たり平均2~3店が閉業しているようだ。銭湯業界は施設の特性上、業種の転換が容易ではなく、休業・廃業していない業者の大半も借金だけ増やしている状況」と話している。

ソウル貸切バス運送事業組合の関係者は「ソウルから釜山(プサン)まで1000キロを運行するとした場合、ガソリン代は66万-67万ウォンがかかるのに対し、乗車料金は80万ウォンにもならない」とし「運転手の日給、駐車代、事務室の管理費などの支払いを除けば、大半が赤字」と話している。

一般バス会社も運送費削減のために運行路線を減らす案を検討している。忠清北道(チュンチョンブクド)バス運送事業組合に所属する22の市内・市外バスの代表らは28日、非常対策会議を開き、来月10日から路線を縮小運行する方針を決めた。

釜山市内バス運送事業組合も昼の時間帯の重複路線を中心に市内バスの運行を減らす案を協議中だ。バス業界関係者は「長期的に▽路線バスへの免税油供給▽特別財政の支援--などの対策づくりがない場合、運行を全面中断し、事業免許まで返上するなどの強硬策に悩んでいるのが実情」と話した。

◇免税油も供給不足=長引く原油高に耐えられず、出漁を断念する漁民も増えている。政府が提供する免税油も供給量不足により、価格が1リットル=1000ウォン台に入ったからだ。忠清南道泰安郡(チュンチョンナムド・テアングン)の場合、最近、管内の漁船1800隻のうち、約200隻しか操業していない。

漁夫チョン・オニョンさん(65、泰安郡所遠面)は「漁民の大半が漁業を放棄した」とし「免税油の価格にも耐えがたい」と嘆いた。大型旋網水産業協同組合は最近臨時総会を開き、27の船団が運搬船3隻のうち1隻をそれぞれ減らすことに決めた。

仁川甕津(インチョン・オンジン)水産協同組合の関係者は「まだワタリガニ、マナガツオの水揚げがピークで、やむを得ず操業はしているが、心配でたまらない」とし「最近になって政府の減船事業(政府予算で漁船と漁業権を買い入れて船を減らす政策)への問い合わせも大きく増えている」と話した。

原油価格の上昇で厳しい状況になっているのは、農繁期を迎えた農民も同じだ。本格的な農期が迫ったが、農機具を休ませている状況だ。忠清南道論山(ノンサン)でイチゴを栽培するキム・ソンファンさん(58)は「近ごろは石油価格が高く、普通農機具でしなければならないことでも、可能な場合は手作業で行うこともある」と訴えた。



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