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政策転換で「キムジョンヒル」とからかわれたヒル次官補

ブッシュ米大統領が再選を果たし、第2期ブッシュ政権が発足した05年初め、ライス米国務長官は北朝鮮の核開発計画を阻止するための戦略会議を開いた。

会議中、静かだったヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)が「長官が私を北朝鮮の平壌(ピョンヤン)に送ってくれれば交渉を成功させる」と話すと、出席者らは目を大きく見開いた。ヒル氏はこのようにして米国の対北政策の前面に登場し、対北問題で強硬派だったブッシュ氏を穏健派へと180度に変えた主要人物になったと米紙ワシントン・ポスト(WP)の電子版が26日報じた。

同紙は「米国の対北政策変化による北朝鮮との核廃棄交渉は、ブッシュ政権の最大の外交的成果に浮上している」と評価した。ヒル氏が最悪の成績表を受けとるところだったブッシュ政権の外交政策を生き返らせたということだ。


ライス氏の支持に支えられたヒル氏は国務省保守派の反対を押し切って、対北交渉を率いた。このため米政府の内外から、保守派の非難を一身に受けた。彼らは、ヒル氏を北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の名を「キム・ジョンヒル」としてからかった。ヒル氏が北朝鮮との対話に執着して譲歩しすぎたということだ。

しかし、ヒル氏の影響力は時間が経つほど大きくなった。米ニューヨーク・フィルハーモニック・オーケストラ(NYフィル)の歴史的な平壌公演も同氏の舞台裏での役割が大きかった。ヒル氏は昨秋、平壌公演を望まないNYフィルの演奏者と昼食を共にし、平壌行きを説得した。

WPによると、同氏はNYフィルの平壌公演を発表する記者会見にも出席する予定だったが、北朝鮮側の人物が出席するという情報を耳にしたライス氏が引きとめたために断念した。ヒル氏は対北交渉に臨むことでマスコミに名を知られ、国際的人物に浮上した。

潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は昨年、ヒル氏を「優れた外交官」と褒め称えた。潘総長は「ヒル氏は忍耐と交渉力で冷戦最後の遺産を清算しつつある」と評価した。しかしヒル氏がいつまで保守派の攻撃に耐え、ブッシュ、ライス両氏を満足させながら北朝鮮との交渉を続けられるかは未知数だ。国務省高官は私的な場所で、ヒル氏の対北交渉について懐疑的な見方を示している。

06年、北核問題をめぐる交渉で交渉チームの次席代表を務めたビクター・チャ元ホワイトハウス国家安保会議(NSC)アジア部長は「ヒル氏は効率的な“交渉家”だが、英雄になるためメディアに狂的に執着する人物とも考えられる」と指摘した。そして「ヒル氏は(テニス選手の)マッケンローと言える。優れた才能があり練習しなくても試合で勝つ」と述べた。

当時、NSCで不拡散問題を担当してたキャロリン・レディ氏は「交渉チームは、北朝鮮の核実験に対するすべての制裁措置を中断し断念しろ、と言われた」と吐露した。同氏は「北核交渉はこれ以上交渉ではない。(飴だけあって)ムチがない」と批判した。



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