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しかしこうした庶民の不満に対する李明博(イ・ミョンバク)政権の答弁は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時と似ている。 「軽油価格が上がるのは国際価格が上がったためであり、税金を引き下げても解決しない。 税金を引き下げればエネルギー消費が増えるだけだ。 従って油類税を引き下げることはできない」。
李明博政権は昨年の大統領選挙当時から、庶民生活費の負担を減らすために油類税を引き下げる、と繰り返し明らかにした。 約束通り、就任すると油類税を10%引き下げた。 しかし原油価格が高騰し、わずか1週間で価格は以前の水準に戻り、その後にもずっと値上がりしている。
◇物価2倍上昇中に軽油は9倍に=統計庁によると、消費者物価指数は90年の51.7から今年4月には108.8に上がった。 上昇率は110.4%。 軽油物価指数は同じ期間、803%も上昇した。 政府は05年からエネルギー税制を合理化するとし、軽油にかかる税金を段階的に引き上げてきた。 昨年7月に終えた改編でガソリンと軽油の価格比を100対85に決めた。 かつてガソリン価格の半分にもならなかった軽油の価格をガソリンの85%にまで高めるという構想だった。
しかし政府の予想に反して最近の国際軽油価格はガソリンを上回るペースで値上がりし、ガソリンと軽油の価格比はほぼ100対100になった。 これを受け、油類税、特に軽油にかかる税金の引き下げや、脆弱階層に対する支援の拡大を考えなければならない、という声が高まっている。 関東(クァンドン)大経営学科の洪昌義(ホン・チャンウィ)教授は「政府の政策を信じて軽油車を購入したり自営業をする人が怒りを感じるのも無理はない」と述べた。
軽油にかかる税金を引き下げたからといって全体の税収が大きく減るわけではない。 3月に油類税を10%引き下げ、政府は税収が月平均1300億ウォン(約130億円)ずつ減ると予想していた。 しかし原油高の影響で付加価値税収入は月485億ウォンずつ増えている。 油類税の減少幅が予想値の63%に終わったのだ。 今後も原油が上がれば税収減少規模はさらに減る。 さらに今年全体の税収が当初の予想より8兆ウォンほど増えると見られ、まだ油類税を引き下げる余力はある。
◇軽油油類税を引き下げない理由は=企画財政部は油類税引き下げに反対している。 財政部は国際原油市場の需給不均衡という構造的な問題のため国内軽油価格が上昇したとみている。 したがって軽油税の引き下げは解決策にならない、ということだ。 財政部の関係者は「軽油にかかる税金を引き下げれば、むしろ消費が増え、エネルギー節約政策にも逆行する」と主張した。
また、軽油にかかる税金はガソリンに比べて依然として少ない、という論理も強調している。 軽油にかかる油類税(交通税+走行税+教育税)は1リットル当たり476ウォンと、ガソリン油類税(1リットル当たり670ウォン)に比べて194ウォン少ない。 国際市場では軽油が高いのに、税金を引き下げて価格構造を歪曲すれば、軽油の消費だけが増える、ということだ。
誠信(ソンシン)女子大の姜錫勲(カン・ソクフン)教授は「国民が政府政策に従って被害を受けるのは問題」とし「零細自営業者や脆弱階層にエネルギーバウチャーなどの支援を拡大しなければならない」と語った。 洪昌義教授は「軽油の税金を引き下げることが物価の安定にも寄与する」と述べた。
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