12日、中国・四川省で起きた大地震(マグニチュード7.9)での死亡者が約3万人にのぼっている。中国政府は死亡者が5万人を超えると予測している。四川は約1500人の海外同胞が住んでおり、韓国人観光客もよく訪れる場所だ。このため韓国でも今回の地震への関心が高い。今回の地震が韓国に影響を及ぼさないだろうか。韓国は地震安全地帯なのか。地震が起きたら、どのようにしなければならないのか。気象庁のミン・ギョンシク地震管理官(54)に会い、インタビューした。
四川大地震が起こった日は、韓国の気象庁も忙しかった。祭日(釈迦誕生日)だったが、5人が非常勤務を行った。
2~3分おきに電話が鳴った。「事務室の壁に取り付けてあるエアコンが落ちたので、ひとまずビルの外に避難したが、次はどのようにしたらいいか」「自分が住んでいる場所は○○市だが、○○市は安全なのか」などという中国で暮らす海外同胞からの問い合わせだった。「中国の放送が理解しにくいので、韓国に電話したのでしょう」。グローバル化に伴い、今後このようなことが多くなるだろうとミン管理官は話す。
--中国で大地震が起きたが、韓国に影響はないか。
「昨年1月、五台(オデ)山で地震(マグニチュード4.8)が起きたときも、ソウルでは揺れを全く感じませんでした。今回の地震が与えた振動はそのときの10分の1。これから地震が起きる確率に影響を与えないかですか? 全然ありません。マグニチュード7.9の大地震といっても地球全体のエネルギーから見れば極めて小さい。漢江(ハンガン)で1杯の水をすくったからといって洪水の危険が増えたり減ったりしますか」。
--では、韓国は地震の安全地帯だと考えても構わないか。
「地球の表面にはいくつかの断層が隆起するように集まっていて、この断層が互いに摩擦を起こし、その境界で地震が発生します。ところが、韓国は日本のように断層の境界にあるのではなく、内部にあるので比較的安全です。しかし、1976年に中国の唐山で今回の四川省地震のようにマグニチュード7.8の大地震が起きて24万人が死亡したのですが、唐山は断層が内部にあります。1800年代に米国チャールストン・ニューマドリッドでもマグニチュード7以上と推定される大地震の記録があるが、これも内部です」。
--韓国にもマグニチュード7以上の地震が起きる可能性があるとか。
「理論的にはいつでも可能です。断層内部に蓄積したエネルギーが爆発し、地震が起きるケース。このような地震は中国や韓国でも起きる確率は同じです。韓国の国土が中国より小さいので、発生頻度が低いだけです。この100年間、大地震がなかったとしても、100年は短い期間です。2000年の記録を見れば、マグニチュード6.7~7の地震が何度も起こっています。新羅(シルラ)時代に家が崩壊し、100人が死亡した記録もあります。1998年に原子力研究院で当時の家を再現し、実験したところ、簡単には崩れませんでした。なので大規模の地震だったのでしょう。当時、地震などの自然災害は王の統治力と直結していたので、記録を縮小することはあっても、誇張はまずないと思われます」。
--ソウルにも大きい地震が起こるか。
「地震記録は全国にわたり分布しています。すべては確率の問題だ。ソウルは人口が密集して施設が多く、被害を予想しにくい。1988年に6階以上、2005年には3階以上の建物に耐震設計をするよう法を制定したので、高層ビルはマグニチュード6の地震にも大被害はないとされています。しかし築20年以上のマンションや古くなった一戸建て住宅は被害が大きいといいます。あえて言えば、大地震は慶州(キョンジュ)で多かったんです。活動している断層と連結していて、地質学的にも地震の危険が相対的に高いんです」。
--それでは慶州(月城)にある原子力発電所が危険なのでは。
「韓国で地震の研究がほとんど行われなかった70年代中旬にも原子力分野では地震の研究が盛んでした。自分も原子力研究員として地震分野を担当していました。韓国原子力発電所は1万年間、地震に耐えられるように設計されているんです。四川省大地震の規模で起きても稼働が一時ストップする程度です。世界最大規模の地震が起きても、発電所が崩壊して放射能が漏れ出ることはありません」。
--地震は予知できないのか。地震が来る前に磁気の変化で地震雲ができ、四川省大地震が発生する直前に多くのヒキガエルが移動したという。
「人は神秘的な現象を好みます。唐山大地震の数日前にも馬が暴れたという記録があり、中国ではこれについて研究を行ったんです。ところが地震との関係を明らかにすることができませんでした。地震エリアの磁気に変化が起きるのは正しいが、これだけで地震を予報するのは難しい。1989年に米国オークランドの野球場で行われたワールドシリーズの際にも大地震(73人死亡)を予測できず、野球の生中継が地震の生中継に変わったことがあるほどなので、どれほど難しいか分かるでしょう」。
--地震が起きたら、どのようにしなければならないか。
「家の中で最も安全な場所がどこだか知っていますか?トイレです。構造上、多くのパイプが使用されているため、崩壊を防ぎ、空間を確保できる。地震は1回に10~20秒程度で短い。まず揺れを感じたら、トイレに非難し、しばらくして止んだら、次の衝撃が来る前に素早くガスを消して運動場や公園などに非難してください」。
2006年10月の北朝鮮核実験以後、政府は地震政策を強化した。地震担当機関を韓国地質資源研究院から気象庁に変え、地震管理官を起用した。土地を耕して埋め、測定することにより正確さを高めるボーリング地震計(1台当たり約3007万円)を増やし、鬱陵島(ウルルンド)海域に25億ウォン(約2.5億円)を投入して海底地震計を設置した。従来の地震計は1台当たり5000万(約501万円)~8000万ウォン(約801万円)だった。今年から2012年まで地震観測網を強化する予定だ。
ミン・ギョンシク地震管理官
初の地震関連高位職公務員(局長級)。ソウル大学地質学科卒業、同大学院修士。米国テキサスSMU地震学博士。韓国原子力研究員統制政策室長、韓国原子力統制技術院統制政策部長を経て、昨年7月、気象庁地震管理官として任用された。
|
四川大地震が起こった日は、韓国の気象庁も忙しかった。祭日(釈迦誕生日)だったが、5人が非常勤務を行った。
2~3分おきに電話が鳴った。「事務室の壁に取り付けてあるエアコンが落ちたので、ひとまずビルの外に避難したが、次はどのようにしたらいいか」「自分が住んでいる場所は○○市だが、○○市は安全なのか」などという中国で暮らす海外同胞からの問い合わせだった。「中国の放送が理解しにくいので、韓国に電話したのでしょう」。グローバル化に伴い、今後このようなことが多くなるだろうとミン管理官は話す。
--中国で大地震が起きたが、韓国に影響はないか。
「昨年1月、五台(オデ)山で地震(マグニチュード4.8)が起きたときも、ソウルでは揺れを全く感じませんでした。今回の地震が与えた振動はそのときの10分の1。これから地震が起きる確率に影響を与えないかですか? 全然ありません。マグニチュード7.9の大地震といっても地球全体のエネルギーから見れば極めて小さい。漢江(ハンガン)で1杯の水をすくったからといって洪水の危険が増えたり減ったりしますか」。
--では、韓国は地震の安全地帯だと考えても構わないか。
「地球の表面にはいくつかの断層が隆起するように集まっていて、この断層が互いに摩擦を起こし、その境界で地震が発生します。ところが、韓国は日本のように断層の境界にあるのではなく、内部にあるので比較的安全です。しかし、1976年に中国の唐山で今回の四川省地震のようにマグニチュード7.8の大地震が起きて24万人が死亡したのですが、唐山は断層が内部にあります。1800年代に米国チャールストン・ニューマドリッドでもマグニチュード7以上と推定される大地震の記録があるが、これも内部です」。
--韓国にもマグニチュード7以上の地震が起きる可能性があるとか。
「理論的にはいつでも可能です。断層内部に蓄積したエネルギーが爆発し、地震が起きるケース。このような地震は中国や韓国でも起きる確率は同じです。韓国の国土が中国より小さいので、発生頻度が低いだけです。この100年間、大地震がなかったとしても、100年は短い期間です。2000年の記録を見れば、マグニチュード6.7~7の地震が何度も起こっています。新羅(シルラ)時代に家が崩壊し、100人が死亡した記録もあります。1998年に原子力研究院で当時の家を再現し、実験したところ、簡単には崩れませんでした。なので大規模の地震だったのでしょう。当時、地震などの自然災害は王の統治力と直結していたので、記録を縮小することはあっても、誇張はまずないと思われます」。
--ソウルにも大きい地震が起こるか。
「地震記録は全国にわたり分布しています。すべては確率の問題だ。ソウルは人口が密集して施設が多く、被害を予想しにくい。1988年に6階以上、2005年には3階以上の建物に耐震設計をするよう法を制定したので、高層ビルはマグニチュード6の地震にも大被害はないとされています。しかし築20年以上のマンションや古くなった一戸建て住宅は被害が大きいといいます。あえて言えば、大地震は慶州(キョンジュ)で多かったんです。活動している断層と連結していて、地質学的にも地震の危険が相対的に高いんです」。
--それでは慶州(月城)にある原子力発電所が危険なのでは。
「韓国で地震の研究がほとんど行われなかった70年代中旬にも原子力分野では地震の研究が盛んでした。自分も原子力研究員として地震分野を担当していました。韓国原子力発電所は1万年間、地震に耐えられるように設計されているんです。四川省大地震の規模で起きても稼働が一時ストップする程度です。世界最大規模の地震が起きても、発電所が崩壊して放射能が漏れ出ることはありません」。
--地震は予知できないのか。地震が来る前に磁気の変化で地震雲ができ、四川省大地震が発生する直前に多くのヒキガエルが移動したという。
「人は神秘的な現象を好みます。唐山大地震の数日前にも馬が暴れたという記録があり、中国ではこれについて研究を行ったんです。ところが地震との関係を明らかにすることができませんでした。地震エリアの磁気に変化が起きるのは正しいが、これだけで地震を予報するのは難しい。1989年に米国オークランドの野球場で行われたワールドシリーズの際にも大地震(73人死亡)を予測できず、野球の生中継が地震の生中継に変わったことがあるほどなので、どれほど難しいか分かるでしょう」。
--地震が起きたら、どのようにしなければならないか。
「家の中で最も安全な場所がどこだか知っていますか?トイレです。構造上、多くのパイプが使用されているため、崩壊を防ぎ、空間を確保できる。地震は1回に10~20秒程度で短い。まず揺れを感じたら、トイレに非難し、しばらくして止んだら、次の衝撃が来る前に素早くガスを消して運動場や公園などに非難してください」。
2006年10月の北朝鮮核実験以後、政府は地震政策を強化した。地震担当機関を韓国地質資源研究院から気象庁に変え、地震管理官を起用した。土地を耕して埋め、測定することにより正確さを高めるボーリング地震計(1台当たり約3007万円)を増やし、鬱陵島(ウルルンド)海域に25億ウォン(約2.5億円)を投入して海底地震計を設置した。従来の地震計は1台当たり5000万(約501万円)~8000万ウォン(約801万円)だった。今年から2012年まで地震観測網を強化する予定だ。
ミン・ギョンシク地震管理官
初の地震関連高位職公務員(局長級)。ソウル大学地質学科卒業、同大学院修士。米国テキサスSMU地震学博士。韓国原子力研究員統制政策室長、韓国原子力統制技術院統制政策部長を経て、昨年7月、気象庁地震管理官として任用された。
この記事を読んで…