韓国は輸出主導型経済で世界１０位圏経済大国に成長した。だが、外交力は１０位圏にまだまだ手が届かない。２０２２年韓国はＧＤＰ１兆６７３２億ドル（約２３８兆５４８０億円）で世界１３位にランクした。オランダは９９１９億ドルで１８位を占めた。帝国の経験があるオランダは強小国外交をあますところなく見せる。韓国の海外公館は１１６カ所だが、オランダは１２９カ所を要している。公的援助のＯＤＡ予算も２０２２年オランダは６５億ドルだが韓国は２９億ドルでその半分にも満たない。

米中葛藤が深まりグローバルバリューチェーンが崩壊し、国際秩序の再編が進んでいる。中国とロシアが力を合わせ、彼らのアフリカに対する援助と投資は非常に積極的だ。韓国もアフリカ、東南アジア、中南米、中東、東欧諸国に対する戦略的アプローチが必要な時点だ。

だが、韓国において外交部の地位と力量は非常にみすぼらしい。経済開発５カ年計画で国家経済を総指揮した経済企画院の伝統が続いていて、企画財政副長官が経済副首相の役割を担っている。教育部長官も社会副首相を兼ねている。統一部と科学技術部の長官も副首相を兼職した。だが、韓国経済の核心が輸出で、強大国に囲まれて外交が何よりも重要な役職であるにもかかわらず、外交部は副首相席を兼職したことがない。大統領の儀典序列でも米国は副大統領（上院議長兼任）、下院議長、連邦大法院長に続き国務長官が５番目だが、韓国の場合、外交部長官の儀典序列は国会議長、首相などに続き１８番目の大統領秘書室長の次である１９番目だ。


尹錫悦（ユン・ソクヨル）政府が包容外交のために来年度のＯＤＡ予算案を今年４兆５０００億ウォンから４４％飛躍的に増えた６兆５０００億ウォンを編成した。たとえ国会予算審議過程で２０００億ウォン以上減額されたとしても、空前絶後ともいえる予算増額だ。経済協力開発機構（ＯＥＣＤ）開発援助委員会は２８加盟国に各国ＧＤＰの０．３％をＯＤＡ予算として支出するように勧告しているが、２０２２年韓国のＯＤＡ予算はＧＤＰの０．１７％に過ぎなかった。

国格を高めるためには経済力に見合った外交力に支えられていなくてはならない。国家のソフトパワーである文化、外交などの格が上がってこそ経済も活発になる。国内政治の多くの問題によって、韓国がこれ以上国ランクを上げることができず、ここが頂上だとして「ピークコリア」を語るため心配だ。新自由主義グローバル経済秩序が揺れているのに国内政治は政争に余念がない。これからは世界戦略を設計しなければ韓国の未来がない。外交部長官が副首相級の世界戦略指令塔になり、国際社会で韓国の外交力を強化して国格と経済力をさらに高めなければならない。

韓国国民の血の汗でここまで這い上がってきたが、ここが頂上だから降りていけという言葉う受け入れにくいからだ。

ヨム・ジェホ／泰斉（テジェ）大学総長・前高麗（コリョ）大学総長


【コラム】国格と外交部首相＝韓国（１）