◇米国、来年4-6月期に利下げの可能性
10月米国の10年満期国債収益率が5%台に接近し、2007年7月以降で最高値を記録したが、最近では4.2%前後まで下がった。市場金利には未来の経済成長率と物価上昇率が内包されている。前述した通り、来年米国経済成長率が消費中心へ大幅に低下したりマイナスを記録する可能性がある。このような需要萎縮とあわせてFRBの緊縮的通貨政策で物価上昇率がさらに低くなる見通しだ。来年の上半期にこのような期待が現実化すれば市場金利は一段階さらに下落する可能性がある。
FRBも来年4-6月期からは連邦基金金利を低くする可能性がある。経済成長率と物価上昇率の鈍化で適正金利水準が低くなっているためだ。適正金利を推定する一つの方法が「テーラー準則」だ。実際のGDPが潜在水準を超えるか実際の物価上昇率が目標値を上回る時に適正金利水準が上昇し、その反対の場合、金利水準が低くなる。今年10-12月期から米国経済成長率が落ちている。来年は実際のGDPが潜在水準以下に落ちる可能性がある。消費者物価上昇率も次第に2%に近づいていくだろう。筆者がこの準則を用いて適正な連邦基金金利を推定(実質金利は1990~2022年平均を使用)すると、今年10-12月期が4.6%となり、現在5.25%より低い。
今年最後となった先週の連邦公開市場委員会(FOMC)で、FRBはまだ雇用が堅調で物価上昇率が高いと評価した。しかし来年上半期に経済状況は急変する可能性がある。米国経済は非常に弾力的だ。2020年コロナ禍によって米国経済が沈滞に陥ると企業は同年3~4月に雇用を2194万人も減らした。それ以前ほぼ10年間にわたって増えた雇用をたった2カ月の間に減らしてしまったのだ。消費が萎縮すれば企業売上と利益が減り、企業が直ちに雇用縮小に踏み切ることができる。
◇ドル価値、中長期的に下落の可能性が高い
10年国債収益率とドル指数は同行している。市場金利の下落はドル指数の下落を意味する。ドル指数を決める根本的要因を考慮する時もドル価値は中長期的に下落する可能性が高い。国際通貨基金(IMF)の中長期見通しによると、米国GDPが世界で占める比率が2022年25.4%から2028年には24.0%に減少する。世界GDPにおいて米国の比重縮小はすなわちドル価値の下落を意味する。ここに米国の対内外不均衡も深まっている。今年4-6月期に連邦政府負債がGDPの120.6%で非常に高い。米国の対外純債務もGDPの67.2%で10年間で倍以上に増えた。世界中央銀行の外貨保有額の中でドルの比率も2000年71.1%から今年4-6月期には58.9%に減った。
「三高」の解消は別の側面から景気低迷を意味する。この場合、企業収益が減少して株価も下落する可能性がある。企業や個人は先制的に資産ポートフォリオを最適化しなければならない。非効率的資産売却を含めて速かに構造調整をした企業は新たな成長機会を模索することができる。適正な現金を持っている個人は株式市場で富を増やす機会をつかめるはずだ。2024年は弾力性(resilience)を持って対応する企業や個人にとって跳躍の1年になるだろう。
キム・ヨンイク/西江(ソガン)大学経済大学院教授
【コラム】高物価・高金利・高為替レートは去り、低物価・低金利・低為替レートがやってくる=韓国(1)
10月米国の10年満期国債収益率が5%台に接近し、2007年7月以降で最高値を記録したが、最近では4.2%前後まで下がった。市場金利には未来の経済成長率と物価上昇率が内包されている。前述した通り、来年米国経済成長率が消費中心へ大幅に低下したりマイナスを記録する可能性がある。このような需要萎縮とあわせてFRBの緊縮的通貨政策で物価上昇率がさらに低くなる見通しだ。来年の上半期にこのような期待が現実化すれば市場金利は一段階さらに下落する可能性がある。
FRBも来年4-6月期からは連邦基金金利を低くする可能性がある。経済成長率と物価上昇率の鈍化で適正金利水準が低くなっているためだ。適正金利を推定する一つの方法が「テーラー準則」だ。実際のGDPが潜在水準を超えるか実際の物価上昇率が目標値を上回る時に適正金利水準が上昇し、その反対の場合、金利水準が低くなる。今年10-12月期から米国経済成長率が落ちている。来年は実際のGDPが潜在水準以下に落ちる可能性がある。消費者物価上昇率も次第に2%に近づいていくだろう。筆者がこの準則を用いて適正な連邦基金金利を推定(実質金利は1990~2022年平均を使用)すると、今年10-12月期が4.6%となり、現在5.25%より低い。
今年最後となった先週の連邦公開市場委員会(FOMC)で、FRBはまだ雇用が堅調で物価上昇率が高いと評価した。しかし来年上半期に経済状況は急変する可能性がある。米国経済は非常に弾力的だ。2020年コロナ禍によって米国経済が沈滞に陥ると企業は同年3~4月に雇用を2194万人も減らした。それ以前ほぼ10年間にわたって増えた雇用をたった2カ月の間に減らしてしまったのだ。消費が萎縮すれば企業売上と利益が減り、企業が直ちに雇用縮小に踏み切ることができる。
◇ドル価値、中長期的に下落の可能性が高い
10年国債収益率とドル指数は同行している。市場金利の下落はドル指数の下落を意味する。ドル指数を決める根本的要因を考慮する時もドル価値は中長期的に下落する可能性が高い。国際通貨基金(IMF)の中長期見通しによると、米国GDPが世界で占める比率が2022年25.4%から2028年には24.0%に減少する。世界GDPにおいて米国の比重縮小はすなわちドル価値の下落を意味する。ここに米国の対内外不均衡も深まっている。今年4-6月期に連邦政府負債がGDPの120.6%で非常に高い。米国の対外純債務もGDPの67.2%で10年間で倍以上に増えた。世界中央銀行の外貨保有額の中でドルの比率も2000年71.1%から今年4-6月期には58.9%に減った。
「三高」の解消は別の側面から景気低迷を意味する。この場合、企業収益が減少して株価も下落する可能性がある。企業や個人は先制的に資産ポートフォリオを最適化しなければならない。非効率的資産売却を含めて速かに構造調整をした企業は新たな成長機会を模索することができる。適正な現金を持っている個人は株式市場で富を増やす機会をつかめるはずだ。2024年は弾力性(resilience)を持って対応する企業や個人にとって跳躍の1年になるだろう。
キム・ヨンイク/西江(ソガン)大学経済大学院教授
【コラム】高物価・高金利・高為替レートは去り、低物価・低金利・低為替レートがやってくる=韓国(1)
この記事を読んで…