「世界の米軍司令部では韓国、日本、欧州各国の軍人が共に勤務している。米国は中国の朝貢文化にはない同盟というDNAがある」。ジョンズ・ホプキンス大国際関係大学院(SAIS)のエリオット・コーエン学長は「米国以外に世界を引っ張っていく国はない」と断言し、このように語った。コーエン氏は先月22日、ワシントンSAIS学長室で、トランプ大統領のアメリカファーストを診断する中央日報のインタビューに応じ、「世界の秩序も米国の支配的な立場はやや弱まるだろうが、依然としてリーダーとして役割をする新たな均衡を見つけることになるだろう」と楽観した。
冷戦以降、自由主義の国際秩序が崩れていると懸念したプリンストン大のジョン・アイケンベリー客員教授とは違い、「米国のリーダーとして役割が少し減る一方で韓国、日本、そしてインドやイスラエルのような新興強国の役割は増える」という一種の調整期と見ているからだ。
コーエン氏はトランプ大統領のアメリカファーストについて、新しい理念や外交ドクトリンというよりも「米国社会の構造的変化に対する一連の本能的衝動」という見方を示した。「米国社会は白人主流が非主流に転落し、多文化・多人種社会へ移る重大な転換期にあり、トランプ大統領は一部の白人の怒りと不安感を代弁している」と話しながらだ。以下はインタビューの内容。
--トランプ大統領と過去のアメリカファースト運動とは何が違うのか。
「米国優先主義はもともと第1・2次世界大戦参戦反対運動だった。ジョン・F・ケネディ、ジェラルド・フォード大統領も大学時代には支持者だった。当時、強い反英感情のためだった。日本の真珠湾空襲で運動はなくなったが、孤立主義は完全に消えたわけではない。ドワイト・アイゼンハワーも1952年の大統領選挙の共和党選挙で孤立主義代表候補のロバート・タフトにかろうじて勝利した。議会には依然として世界からの米国の撤収や役割縮小を主張する勢力が存在するが、主流でないだけだ。実際、トランプ大統領にはこのような歴史の知識は全くない」
--いずれにしてもトランプ大統領が21世紀のアメリカファーストの典型ではないのか。
「トランプ大統領の後任が正常な人かどうかは分からないが、誰になってもトランプ大統領のようではないと考える。彼のアメリカファーストは理念や外交ドクトリンになるには包括的でなく、十分に検討されたものでもない。強力な本能の集合にすぎない。こうした衝動は米国社会が文化・人種・民族的な重大な転換期にあるために表れた。一部の人々は変化に不安を感じて受け入れがたく、トランプ大統領は彼らの恐怖と不安感を代弁する。米国にはいつも人種差別と激しい偏見、外国人に対する恐怖心があったが、遠からず多数が少数に変わる真の分岐点を通過すると考える」
--米国は自ら世界から離れているのでは。
「世界の秩序は中国の到来で根本的に変わっている。米国と中国の経済のデカップリング(分離)が始まり、さらにインターネットさえもデカップリングが生じている。いつか起こるしかないことが起き始めたのだ。最も重要なのは、冷戦当時のようなことは米国の国益に寄与するということに変化がないという点だ。開放された国際貿易と安定した自由民主主義国家と驚くべき同盟システムだ。米国人の大半は開放された世界秩序から恩恵を受けるという点を認識している。米国大統領のトランプが被害を与えることがあるかもしれないが、行政府と議会の合意があるため米国は撤収しないだろう。その代わり我々の焦点は欧州から中国にはるかに集中する方式に変わった」
--米国は孤立主義に回帰しないということか。
「まず米国が世界を引っ張らなければ、他のどの国にもそのような能力がない。欧州連合もできず、中国・ロシアも別の理由で世界を牽引することはできない。米国が撤収すれば真空状態が生じて、あちこちで衝突と分裂が起こる可能性がはるかに高まる。米国でなければ世界はさらに悪化する。我々は巨大な権威主義権力である中国の浮上と影響力の拡大という挑戦に対応しなければならず、気候変動のような超国籍課題も抱えている。ソーシャルメディア世論操作のような自由民主主義の危機にも我々は立ち向かわなければいけない。米国が主導しなければ世界は混沌に向かうだろう」
--今後、世界秩序はどのように変わると見ているのか。
「我々は20年前に戻ることはできない。統計学に平均回帰概念があるが、時間が経過するにつれて偏差が減って平たくなるという意味だ。やや混乱はあっても、米国が依然として最も重要な国として指導者の役割をする一種の新しい均衡(new equilibrium)を探していくだろう。米国は過去のように思うままにしたり支配的になることはできないが、韓国、日本、インド、イスラエルが代わりにより多くの役割をする世界を想像してみることができる。ただ、ここには米国の指導者を含めて世界指導者のより多くの政治力が必要になるだろう」
「米国には中国朝貢文化にない同盟というDNAがある」(1)
冷戦以降、自由主義の国際秩序が崩れていると懸念したプリンストン大のジョン・アイケンベリー客員教授とは違い、「米国のリーダーとして役割が少し減る一方で韓国、日本、そしてインドやイスラエルのような新興強国の役割は増える」という一種の調整期と見ているからだ。
コーエン氏はトランプ大統領のアメリカファーストについて、新しい理念や外交ドクトリンというよりも「米国社会の構造的変化に対する一連の本能的衝動」という見方を示した。「米国社会は白人主流が非主流に転落し、多文化・多人種社会へ移る重大な転換期にあり、トランプ大統領は一部の白人の怒りと不安感を代弁している」と話しながらだ。以下はインタビューの内容。
--トランプ大統領と過去のアメリカファースト運動とは何が違うのか。
「米国優先主義はもともと第1・2次世界大戦参戦反対運動だった。ジョン・F・ケネディ、ジェラルド・フォード大統領も大学時代には支持者だった。当時、強い反英感情のためだった。日本の真珠湾空襲で運動はなくなったが、孤立主義は完全に消えたわけではない。ドワイト・アイゼンハワーも1952年の大統領選挙の共和党選挙で孤立主義代表候補のロバート・タフトにかろうじて勝利した。議会には依然として世界からの米国の撤収や役割縮小を主張する勢力が存在するが、主流でないだけだ。実際、トランプ大統領にはこのような歴史の知識は全くない」
--いずれにしてもトランプ大統領が21世紀のアメリカファーストの典型ではないのか。
「トランプ大統領の後任が正常な人かどうかは分からないが、誰になってもトランプ大統領のようではないと考える。彼のアメリカファーストは理念や外交ドクトリンになるには包括的でなく、十分に検討されたものでもない。強力な本能の集合にすぎない。こうした衝動は米国社会が文化・人種・民族的な重大な転換期にあるために表れた。一部の人々は変化に不安を感じて受け入れがたく、トランプ大統領は彼らの恐怖と不安感を代弁する。米国にはいつも人種差別と激しい偏見、外国人に対する恐怖心があったが、遠からず多数が少数に変わる真の分岐点を通過すると考える」
--米国は自ら世界から離れているのでは。
「世界の秩序は中国の到来で根本的に変わっている。米国と中国の経済のデカップリング(分離)が始まり、さらにインターネットさえもデカップリングが生じている。いつか起こるしかないことが起き始めたのだ。最も重要なのは、冷戦当時のようなことは米国の国益に寄与するということに変化がないという点だ。開放された国際貿易と安定した自由民主主義国家と驚くべき同盟システムだ。米国人の大半は開放された世界秩序から恩恵を受けるという点を認識している。米国大統領のトランプが被害を与えることがあるかもしれないが、行政府と議会の合意があるため米国は撤収しないだろう。その代わり我々の焦点は欧州から中国にはるかに集中する方式に変わった」
--米国は孤立主義に回帰しないということか。
「まず米国が世界を引っ張らなければ、他のどの国にもそのような能力がない。欧州連合もできず、中国・ロシアも別の理由で世界を牽引することはできない。米国が撤収すれば真空状態が生じて、あちこちで衝突と分裂が起こる可能性がはるかに高まる。米国でなければ世界はさらに悪化する。我々は巨大な権威主義権力である中国の浮上と影響力の拡大という挑戦に対応しなければならず、気候変動のような超国籍課題も抱えている。ソーシャルメディア世論操作のような自由民主主義の危機にも我々は立ち向かわなければいけない。米国が主導しなければ世界は混沌に向かうだろう」
--今後、世界秩序はどのように変わると見ているのか。
「我々は20年前に戻ることはできない。統計学に平均回帰概念があるが、時間が経過するにつれて偏差が減って平たくなるという意味だ。やや混乱はあっても、米国が依然として最も重要な国として指導者の役割をする一種の新しい均衡(new equilibrium)を探していくだろう。米国は過去のように思うままにしたり支配的になることはできないが、韓国、日本、インド、イスラエルが代わりにより多くの役割をする世界を想像してみることができる。ただ、ここには米国の指導者を含めて世界指導者のより多くの政治力が必要になるだろう」
「米国には中国朝貢文化にない同盟というDNAがある」(1)
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