宗廟正殿広場から南東側を見た様子。
◇宗廟北側の景観は損なわれない
第一に、宗廟の核心建築物であり歴代の王の神位が奉安されている正殿の上に、高層ビルがそびえ立つ合成画像が「再開発後の宗廟の姿」として出回っている。建築巨匠フランク・ゲーリー氏が「無限の宇宙を感じる」と激賞した正殿の、左右に長く伸びる荘厳な水平建築のオーラが遮られるような姿だ。しかしこれは事実ではない。正殿の背後・北側は昌慶宮であり、開発可能性は全くない。論争となっている世運(セウン)商店街再開発区域は正殿から南へ500メートルの距離にあり、宗廟南端の外大門(正門)からも180メートル以上離れており、その間には1985年に造成された宗廟広場公園がある。
ただし、ソウル市の構想に沿えば、正殿から南方向を望む時、功臣堂(宗廟内の祠堂)や樹木の向こう側に、より高い建物が見えるようになる。国家遺産庁はこれが宗廟の「静寂な空間秩序」を損なうことになると懸念する。ソウル市は世運第4区域の高さを宗廟側101メートル(24~28階)、清渓川(チョンゲチョン)側145メートル(34~38階)まで引き上げたい考えだ。国家遺産庁は既存の審議基準どおり、それぞれ55メートル(13~15階)、71.9メートル(17~20階)以下に制限すべきだという立場だ。
記者は最近宗廟を訪れ、正殿の壮大な月台に登って四方を見渡した。正殿を背に南東方向を眺めると、ポリョンビル(18階)、ハナ損害保険(12階)、暁星(ヒョソン)ジュエリーシティ(19階)などが視界に入ってくる。既に都心のスカイラインが部分的に侵食している状態だ。ソウル市の青写真どおりであれば、これらの2倍の高さの建物がいくつか追加され、視界に含まれることになる。
第二に、ソウル市の構想のように「必ず高層再開発でなければ収益性が確保できない」という主張も、多様な方式の再開発に目を閉ざした一方的な見方と言える。建築家のファン・ドゥジン氏は「低層であっても容積率を十分に確保できる。欧州式に建ぺい率(敷地面積に対する建物の地面占有比)を高め、敷地を隙間なく埋めればよい」と語る。彼は現代建築と韓屋の調和や都市再生に強い関心を持ち、関連著書も多数出版している。
ファン氏は「フランス・パリは5~6階建てが大半にもかかわらず、平均容積率はソウルより高いという統計がある」とし「(2017年)世運第4区域再開発の国際公募当選案も、欧州式の低層・高建ぺい率方式だった。低く厚みのあるマッス(空間を占める量塊の大きさ、および内部空間を規定する充実体)を配置する代わりに、空間を随所に設け、圧迫感なく豊かな街路体験を提供する設計だった。おそらく自分が設計していてもそうしただろう」と述べた。
「一方、呉世勲(オ・セフン)市政の構想は高層・低建ぺい率方式」であり、「広く空間を取り、高く建てて、その間を宗廟と南山をつなぐ巨大な緑地軸が貫通する計画」だとファン建築家は説明した。「現在の世運商店街の場所にその緑地軸が入る。世運商店街を撤去するには財産権補償費が増え、それを相殺するために建物が高くならざるを得なくなる」。ファン氏は緑地軸が「巨大なスケールの叙事でありランドマーク」となり得るが、「歴史的文脈と断絶される恐れ」もあると指摘する。
【コラム】世運商街再開発・宗廟毀損論争… 感情的な二極対立を離れ、多様な開発可能性を議論すべき(2)
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