16日、全羅南道高興郡の羅老宇宙センターで最終試験打ち上げに向けヌリ号が引き起こされている。写真は多重撮影。[写真 韓国航空宇宙研究院]
このように民間企業が宇宙開発を主導する新たなパラダイムを「ニュースペース」というが、韓国もこうした流れに積極的に乗ろうとしている。昨年発足した韓国版NASA、宇宙航空庁の尹寧彬(ユン・ヨンビン)庁長は「政府主導の宇宙開発を民間主導に本格転換する。役割分担を再確立し民間企業の宇宙開発を積極支援するだろう」と明らかにした。韓国国内に宇宙産業のコントロールタワーが設けられ弾みをつけた産業界は、宇宙開発分野の投資を増やし最近注目する成果を出している。大韓航空は航空機構造物製作から宇宙ロケット・人工衛星開発まで合わせ航空宇宙事業で2022年に4910億ウォンだった売り上げが2023年には5407億ウォン、昨年は5930億ウォンと毎年成長している。収益性も改善され今年上半期には営業利益が黒字に転換した。
◇大韓航空、軍需用無人航空機など国産化
大韓航空は2012年に韓国初の宇宙ロケットである羅老(ナロ)号の組み立て、打ち上げ運用、エンジン開発に参加するなどノウハウを蓄積した。その後、空中ロケットと地上発射体、軌道輸送船、月着陸船など多様な宇宙輸送プラットフォームに活用可能な技術開発に乗り出している。大韓航空関係者は「宇宙ロケットの核心構成品である3トン級メタン液体ロケットエンジンと共通隔壁推進体タンク(燃料タンクと酸化剤タンクを連結する一体型構造)、段間連結アンビリカル、統合アビオニクス(宇宙船と人工衛星などに使われる電子装備またはシステム)などを開発している」と話す。これとともに4月には金属3次元(3D)プリンティング技術で製作した3トン級メタン液体ロケットエンジン燃焼機の燃焼試験を実施した。
下半期には摩擦撹拌接合(FSW)方式で製作した共通隔壁推進体タンク試験を通じ技術力を立証する計画だ。大韓航空はこれを通じて公共部門と緊密な協力体系を構築し、2040年までに宇宙へ物流を積み出す持続可能な宇宙輸送能力を確保するという目標を立てた。人工衛星開発にも着実に乗り出している。1992年のムグンファ衛星開発をはじめ、多目的実用衛星「アリラン」と通信海洋気象衛星「千里眼」の開発に参加して技術力を積んだ大韓航空は、2023年に韓国航空宇宙研究院とともに韓国型衛星航法システム(KPS)衛星1号機構造系の開発事業を始めた。KPSは地球軌道を回る8基の衛星群で、韓半島(朝鮮半島)近隣に特化した超精密位置・航法・視覚情報を提供する。
KPSが構築されれば数十メートルに達する既存の米国型衛星航法システム(GPS)の誤差をセンチメートル単位まで減らすことができる。大韓航空は2035年までに計画されたKPS事業を成功裏に終えるため約20年間蓄積した衛星構造系開発技術と専門人材、航空宇宙用複合材製作組み立て施設などを集中的に投じる計画だ。宇宙開発技術力を世界的に認められるための世界的協力も強化している。大韓航空はボーイングと組んで現在ボーイング製航空機の翼端装置であるレイクドウィングチップ、翼の下の流線型保護カバーであるフラップサポートフェアリング、後方胴体のアフトボディーなど核心構造物製作を担っている。
韓国も民間宇宙開発時代…ロケットと衛星開発で「宇宙に跳躍」(2)
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