先端製造業は韓国が生きる道だ。経済成長の動力であり、地政学の混乱期を支える。韓国が半導体・造船・防衛産業・自動車・バイオなど先端製造業の中心国でなければ、この危険な時代をどのように解決していけるだろうか。TSMCという企業が台湾の安全保障の核心であるように韓国安保の中枢は先端製造業だ。米国が「第2のアチソンライン」を引かず、中国が韓国を米国中心のサプライチェーンから切り離そうとする努力もこれと無関係でないとみられる。ところがこのまま進んでいけば韓国の製造業は没落する。韓国も共に崩れる。
韓国の先端製造業は空洞化の危機に直面している。中国の技術力は韓国追撃をほぼ終えて、すでに追い越し始めた。莫大な「規模の経済」のおかげで生産単価が低い。世界最高水準の製造業生態系が整っているうえ、人材も豊富だ。中国の理工系学部卒業生数は米国の4倍以上であり、OECD(経済協力開発機構)加盟国全体から輩出される理工系人材よりも多い。米国の政策も大きな挑戦だ。経済安全保障と中産層育成のために先端製造業が切実である米国は関税という手段を使っても韓国企業を国内に誘致しようとする。韓国製造業が米中の挟撃に直面したということだ。
韓国の政治と政策は反対に進む。付加価値基準で韓国の国民所得に対する製造業の比率は2010年代初めの28%から2023年には24%に下落した。半面、台湾は製造業の比率が同じ期間に25%から31%に上昇した。1人あたりの国民所得が増えれば製造業の比率が低下する現象が一般的だが、台湾はその傾向を覆した。韓国は若者の人口が急速に減少し、理系離れと人材流出が深刻だが、政策は逆走行している。与党は、研究開発人材を対象に週52時間勤労時間制限を緩和してほしいという企業の要請を拒否し、週4日勤労制も議論している。また「ソウル大10個作り」という予算の浪費が明らかな政策を展開しようとする。
先端製造業を危機から救う大戦略が出てこなければいけない。まず、大学と企業の足かせから外さなければいけない。韓国の教授は先進国にはない各種規制のため多くの時間を浪費する。政府と政治は社会主義式統制で大学の手足を縛りながら、世界に出て資本主義の大学と競争するよう要求する。大学までがそうであり、企業に対する規制はどれほど深刻か。先端産業を救うためには、研究開発人材に限定して一時的にでも週52時間勤労時間制限を緩和するところから始めなければいけない。
「地域拠点の国立大をソウル大にする」のなら、理工系に集中しなければいけない。その大学で最も競争力があり、地域の産業生態系と密接な関連がある理工系学科に財源を集中し、卓越した教授を破格的な年俸で招聘することに重点を置く必要がある。優秀で献身的な教授が人材をつくる。これまで地方大学育成政策は良い教授を招聘するより財源を学生に与えたことで失敗した。将来性がある学生たちが数千万ウォンの奨学金のために数億ウォンの生涯の所得差を生み出すことができるソウル所在大学への進学を放棄して地方の大学に残ろうとするだろうか。
産業政策の焦点を先端製造業と人工知能(AI)の結合に合わせなければいけない。先端半導体産業を除いて大量生産競争で中国に勝てる国はない。その代わり高付加価値のニッチ市場を攻略する各産業向けのAI戦略を進めなければいけない。このために先端産業現場のデータを集めてAI学習に利用し、これを再び産業に適用して生産性を高める必要がある。熟練工の高齢化で時間の余裕はない。引退前に熟練工のノウハウをAIに移植できなければ機会は消える。企業秘密の露出を懸念して公共プラットホームに必要なデータ提供を避ける企業には果敢なインセンティブを与える必要もある。
我々の対外戦略の核心も先端製造業を生かすことに置かなければいけない。米国との関税交渉でも先端産業のサプライチェーン強化を主要議題にするべきだろう。米国は設計、韓国は生産という従来の効率的な分業構造を大きな枠組みで維持する戦略が、中国対応に効果的であることを知らせる必要がある。生産コストがが高い米国が先端製品を直接生産する場合、むしろ中国の価格競争力を浮き彫りにし、世界市場をさらに奪われる逆効果をもたらす。この説得が通用しなければ、韓国先端産業の追加の対米投資より米国産の武器やエネルギーを追加で輸入するのがよい。そして国民皆兵制の韓国の国防費を募兵制国家と一律的に比較することはできないという点を説明しなければいけない。募兵制に転換する場合、韓国の国内総生産に対する国防費支出は0.5%ポイント以上増える。何よりも韓国は誰の息子であれ例外なく国防の義務を果たす、「護国の気迫」が生きている国だ。韓米首脳会談を早期に開催し、トランプ大統領に対して自由を守ろうとする韓国人の意志は米国に劣らず強いということを知らせなければならない。
キム・ビョンヨン/ソウル大客員教授・経済学部
韓国の先端製造業は空洞化の危機に直面している。中国の技術力は韓国追撃をほぼ終えて、すでに追い越し始めた。莫大な「規模の経済」のおかげで生産単価が低い。世界最高水準の製造業生態系が整っているうえ、人材も豊富だ。中国の理工系学部卒業生数は米国の4倍以上であり、OECD(経済協力開発機構)加盟国全体から輩出される理工系人材よりも多い。米国の政策も大きな挑戦だ。経済安全保障と中産層育成のために先端製造業が切実である米国は関税という手段を使っても韓国企業を国内に誘致しようとする。韓国製造業が米中の挟撃に直面したということだ。
韓国の政治と政策は反対に進む。付加価値基準で韓国の国民所得に対する製造業の比率は2010年代初めの28%から2023年には24%に下落した。半面、台湾は製造業の比率が同じ期間に25%から31%に上昇した。1人あたりの国民所得が増えれば製造業の比率が低下する現象が一般的だが、台湾はその傾向を覆した。韓国は若者の人口が急速に減少し、理系離れと人材流出が深刻だが、政策は逆走行している。与党は、研究開発人材を対象に週52時間勤労時間制限を緩和してほしいという企業の要請を拒否し、週4日勤労制も議論している。また「ソウル大10個作り」という予算の浪費が明らかな政策を展開しようとする。
先端製造業を危機から救う大戦略が出てこなければいけない。まず、大学と企業の足かせから外さなければいけない。韓国の教授は先進国にはない各種規制のため多くの時間を浪費する。政府と政治は社会主義式統制で大学の手足を縛りながら、世界に出て資本主義の大学と競争するよう要求する。大学までがそうであり、企業に対する規制はどれほど深刻か。先端産業を救うためには、研究開発人材に限定して一時的にでも週52時間勤労時間制限を緩和するところから始めなければいけない。
「地域拠点の国立大をソウル大にする」のなら、理工系に集中しなければいけない。その大学で最も競争力があり、地域の産業生態系と密接な関連がある理工系学科に財源を集中し、卓越した教授を破格的な年俸で招聘することに重点を置く必要がある。優秀で献身的な教授が人材をつくる。これまで地方大学育成政策は良い教授を招聘するより財源を学生に与えたことで失敗した。将来性がある学生たちが数千万ウォンの奨学金のために数億ウォンの生涯の所得差を生み出すことができるソウル所在大学への進学を放棄して地方の大学に残ろうとするだろうか。
産業政策の焦点を先端製造業と人工知能(AI)の結合に合わせなければいけない。先端半導体産業を除いて大量生産競争で中国に勝てる国はない。その代わり高付加価値のニッチ市場を攻略する各産業向けのAI戦略を進めなければいけない。このために先端産業現場のデータを集めてAI学習に利用し、これを再び産業に適用して生産性を高める必要がある。熟練工の高齢化で時間の余裕はない。引退前に熟練工のノウハウをAIに移植できなければ機会は消える。企業秘密の露出を懸念して公共プラットホームに必要なデータ提供を避ける企業には果敢なインセンティブを与える必要もある。
我々の対外戦略の核心も先端製造業を生かすことに置かなければいけない。米国との関税交渉でも先端産業のサプライチェーン強化を主要議題にするべきだろう。米国は設計、韓国は生産という従来の効率的な分業構造を大きな枠組みで維持する戦略が、中国対応に効果的であることを知らせる必要がある。生産コストがが高い米国が先端製品を直接生産する場合、むしろ中国の価格競争力を浮き彫りにし、世界市場をさらに奪われる逆効果をもたらす。この説得が通用しなければ、韓国先端産業の追加の対米投資より米国産の武器やエネルギーを追加で輸入するのがよい。そして国民皆兵制の韓国の国防費を募兵制国家と一律的に比較することはできないという点を説明しなければいけない。募兵制に転換する場合、韓国の国内総生産に対する国防費支出は0.5%ポイント以上増える。何よりも韓国は誰の息子であれ例外なく国防の義務を果たす、「護国の気迫」が生きている国だ。韓米首脳会談を早期に開催し、トランプ大統領に対して自由を守ろうとする韓国人の意志は米国に劣らず強いということを知らせなければならない。
キム・ビョンヨン/ソウル大客員教授・経済学部
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