被疑者身分で内乱特検調査を受けた尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領が29日、瑞草区(ソチョグ)ソウル高検庁庁舎を出ている。[聯合ニュース]
◆ドローン2機消失 「原因未詳」
中央日報の取材によると、国防部監査官室は先月末、現況調査報告書にドローン作戦司令部(ドローン司)が昨年10月15日と12月19日、それぞれ白翎島(ペクリョンド)と束草(ソクチョ)大隊で小型偵察ドローン機体2機を失ったとし、その事由を「原因未詳」と記録した。ドローン消失時点は昨年10月に北朝鮮外務省が韓国無人機がビラ(対北朝鮮ビラ)を散布したと発表した時期(10月3・9・10日)と、11月初めに北朝鮮咸鏡南道遮湖(ハムギョンナムド・チャホ)潜水艦基地にドローンを送ったという軍内部情報提供時期と重なる。夫勝粲(ブ・スンチャン)共に民主党議員室は「遮湖潜水艦基地まで(ドローンを)かろうじて送ることができた」とし「マニュアル諸元上(最大航続距離が)500キロだが、それ以上も可能」という軍現役将校の証言を確保した。
報告書で国防省傘下の国立科学研究所がドローン司に無償贈与した小型偵察ドローンのうち故障または消失したのは計8機。このうち2機は2023年10月に「原因未詳エンジン停止」「空気速度センサー欠陥」と故障の事由が記録されている。昨年1月と6月、10月に破損した無人機も具体的な事由が書かれている。11月7日に乱気流と強風のため墜落した無人機は束草・襄陽(ヤンヤン)で発見されたと明らかにした。しかし10月15日、12月19日に消失したドローンは回収できず、事由も「原因未詳」だ。軍需品管理法に基づき無人機が消失すればその理由などを正確に記録して国防部に申告しなければならない。
夫議員は「ドローン司は訓練中に無人機2機が消失したというが、北に墜落した無人機を訓練中に正常的に紛失したように見せかけた可能性を排除できない」と指摘した。
特検チームはドローン2機消失の経緯と事後調査が徹底されなかった理由などを確認する予定だ。これに先立ち国防部監査官室は平壌・漣川(ヨンチョン)などで発見された無人機と同一機種を1月22日に全数調査した。白翎島は、北朝鮮が昨年10月19日に平壌で「墜落した無人機」の胴体写真を公開しながら離陸地点と発表したところだ。ところが韓国国防部はドローン司配下の金浦(キンポ)・白翎島・漣川(ヨンチョン)・束草のうち白翎島大隊は訪問調査をせず有線調査だけをしたという。帳簿に記録された内容と在庫状況が一致するかを現場で実物確認した他の部隊とは違い、白翎島は報告を受けた写真に基づいて調査した。これについて国防部監査官室は「船便の予約が埋まっていて訪問調査ができなかった」と釈明した。
◆「尹大統領が北の反応に喜び、司令官がまたしろと」…現役将校
特検チームはドローン司関係者を召喚し、「北風(北朝鮮側の反応)」を招く目的で平壌などにドローンを送ったかどうか、また、消失の背景をまともに確認しなかった経緯などを調べる方針だ。これに先立ち特検チームは「平壌無人機浸透」疑惑に関連し、「キム・ヨンデ司令官がV(尹前大統領)指示であり、国防部と合同参謀本部が分からないようにしなければいけないと言った」「ビラ散布もしなければならず、不安感を形成するために意図的に(ドローンを)露出する必要があった」という内容の現役将校の録取書を確保した。録取書には当時の北朝鮮の脅迫的な反応に「VIPと長官が拍手して喜んだ。とても喜んで司令官が『またしろ』と言った」「11月にも無人機を追加で送った」という内容も含まれていた。ドローン司に対する強制捜査も近く行われるという見方が出ている。
ドローン司は3月、無人機ログ記録削除指針を出し、資料を廃棄しようとした疑いを受ける。防諜司令部も北朝鮮が昨年10月に公開した無人機写真などの資料に基づく内部報告書を作成したが、指揮部がこれを廃棄して調査も中断するよう指示したという疑惑が提起されていた。
この記事を読んで…