2024年のロシア戦勝節軍事パレード [タス=聯合ニュース]
約7分間続いた演説でプーチン大統領は、旧ソ連が独ナチ政権を退けるのに決定的な役割をしたという事実を忘れた傲慢な西側強大国が全世界を紛争に向かわせていると激しく非難した。「我々の戦略軍は常に戦闘準備体制を整えている」として核武力を誇示したが、実力以上の虚勢として映った。
プーチン大統領の後方のVIP席に座ったベラルーシ、カザフスタンなど旧ソ連圏国家の首脳とキューバ、ラオス、ギニアビサウ(1984年に韓国と修交した西アフリカ沿岸国)の首脳は寒い天気のため服装を整えるのに忙しかった。ウクライナ政権は新ナチ政権というプーチン大統領の主張ほど超現実的な風景だった。
ところが今年の戦勝節の風景は完全に変わると予想される。プーチン大統領は軍事パレードを控えて昨年ウクライナの奇襲で占領された西部クルスク州の完全奪還を宣言した。これまで公然の秘密だった北朝鮮軍派兵の事実まで公式的に確認しながら感謝の言葉を伝えた。
何よりも出席が予想される首脳の面々が大きく変わった。ロシア大統領府は戦勝節を祝うため20人以上の首脳がモスクワを訪問すると明らかにした。ブラジルのルーラ大統領、ベトナムのトー・ラム共産党書記長だけでなく、スロバキアのフィツォ首相など欧州の親ロ指導者も出席を決定または考慮している。スポットライトは当然、中国の習近平国家主席に向かうだろう。習主席の出席は現在、公式発表だけを残している。
わずか1年でドラマチックな変化を生み出したのは皮肉にもトランプ米大統領だった。最近のウクライナ終戦協議にみられるようにトランプ大統領の露骨な親ロ的な動きは、プーチン大統領を国際刑事裁判所(ICJ)の逮捕対象者というくびきから外して世界の指導者と支障なく会える首脳に変えた。
5月9日の赤の広場にプーチン大統領と習近平主席が並んで立てば、最も衝撃を受ける人もやはりトランプ大統領になるだろう。中国を孤立させるためにロシアと手を握ろうとした「逆キッシンジャー戦略」が失敗したことを見せる象徴的な場面になるからだ。予想通りモスクワは任期4年の米国大統領(しかも言葉の言い換えが頻繁な)でなく、中国を10年以上統治できる習主席を選択した。モスクワと北京は分裂せず、むしろ真の戦略的パートナーになっている。もしかすると1979ー89年の10年以上の消耗戦でソ連を尽力させ、結局、体制の崩壊までもたらしたアフガニスタン戦争の影響をウクライナで期待したバイデン政権と欧州の選択が正しかったのかもしれない。
今回の80周年ロシア戦勝節にはサプライズイベントがあるかもしれない。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の出席だ。昨年6月の平壌(ピョンヤン)首脳会談でプーチン大統領は金正恩委員長を招請し、金正恩委員長が戦勝節に合わせてロシアを訪問する可能性があるという見方が多かった。
これが実現する場合、バイデン政権当時の韓米日キャンプデービッド首脳会談に匹敵する朝中ロ3カ国協力構図の完成を意味する。もちろん今回ではないかもしれない。朝ロの密着以降、中国と北朝鮮の関係が疎遠になった点、プーチン大統領と習近平主席が現時点であえて米国を追加で刺激する必要がないという点、金委員長が多国間行事に出席した前例がないという点などが根拠だ。
とにかく28日に朝鮮人民軍代表団が平壌(ピョンヤン)を出発した。金委員長が出席するかどうかは不確かだが、「軍事パレードの達人」北朝鮮軍が金日成(キム・イルソン)広場でなく赤の広場を歩く見慣れない場面を全世界が見ることもあるかもしれない。参考にプーチン大統領は26日、ロシア大統領府のホームページに次のような言葉を載せた。「戦場で鍛練されたロ朝間の友情と善隣関係、協力のきずなが引き続き成長して拡大すると確信する」。
チャ・セヒョン/論説委員
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