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【社説】青少年が麻薬取引首謀する国になった韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
何年か前だけでも麻薬清浄国と考えられていた韓国で各種の麻薬が恐ろしい速度で広がっている。インターネットとソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じた密売は日常になった。暗号資産で決済して国際宅配で受け取る事例も頻繁に摘発される。韓国はだれでもその気になれば簡単に麻薬を手に入れることができる国になりつつある。

さらに深刻な問題は、麻薬事犯の年齢が急激に低くなっているという事実だ。検察によると麻薬事犯で摘発された10代の青少年は2011年の41人から2021年には450人と11倍に増えた。上半期に摘発された麻薬事犯のうち10代は292人、20代は2717人で全体の35.1%を占めた。密輸・密売を日常的に行うテレグラムの麻薬取引チャットルームの首謀者を検挙したら高校生であることがわかり衝撃を与えた。IP追跡が難しい「ダークウェブ」を通じて海外から個人輸入する麻薬取引が増え、インターネットに慣れた青少年が簡単に誘惑に陥る。

麻薬犯罪者の行為は日増しに大胆になる。カフェで横のテーブルに人がいるのに麻薬に酔って暴れ回るかと思えば江南(カンナム)のある風俗店では20代の男性と女性が薬物の入った酒を飲んで死亡する事件が発生した。軍にも麻薬が浸透する。与党「国民の力」の全珠恵(チョン・ジュヘ)議員によると、陸軍副士官がインターネットで大麻の種を注文して部隊で宅配で受け取った後、部隊内で直接大麻を栽培して摘発された。こうして手に入れた麻薬をバターと混ぜてパンに塗って食べたというからあきれた状況だ。休暇の時に買った覚醒剤をロッカーに保管していて発覚した陸軍将兵もいる。


特定の場所に物だけ置いて取引する手法が横行したため随所で薬物が見つかる。済州(チェジュ)のある家では先月28日に国際郵便でLSDが送られてきた。ソウル・江北区(カンブクク)のあるビルでは警備員が拾った財布に覚醒剤入りのビニールパックが入っており、瑞草区(ソチョグ)の飲食店のエアコン室外機の上にも麻薬が置かれていた。いつだれが自分の周辺に麻薬を置いて行くかもわからない現実だ。

このように日増しに大胆になり知能化する麻薬犯罪と対照的に当局の対応力はむしろ後退したという指摘が出ている。検察と警察は文在寅(ムン・ジェイン)政権当時に進められた捜査権調整で麻薬捜査の権限をめぐって激しい神経戦を行った。警察では「検察が麻薬捜査を直接できる権限を得た」と批判し、検察では「直接捜査権剥奪で麻薬捜査に大きな支障が起きている」と問題を提起した。

検察捜査陣が目の前に現れた麻薬事犯を逮捕できず警察に通報するという笑えない事態まで広がる。麻薬犯罪は韓国社会全般を脅かす重大犯罪になった。検察と警察が権限を争っている段階ではない。

野党「共に民主党」からも麻薬問題を深刻に懸念する声が相次ぐ。金民錫(キム・ミンソク)議員は「昨年麻薬類密輸取り締まりが過去最大で、関税庁に摘発された件数が2020年の696件から2021年には1054件で51%増え摘発量は757%増加した」と指摘した。姜勲植(カン・フンシク)議員は「昨年捜査機関に検挙された10代の麻薬事犯は2019年に比べ1.9倍になった」と叱咤した。きのう開かれた警察庁の国政監査でも議員は尹熙根(ユン・ヒグン)警察庁長に麻薬犯罪に対する強力な対策を注文した。

麻薬犯罪だけは検察と警察が総体的な能力を強化できるよう捜査権を含めて全般的な対応体系を再点検する必要がある。イ・ウォンソク検事総長がきのうの会議で合同捜査の意志を明らかにしたのも検察と警察など関連機関が一体になって動かなければ麻薬犯罪は制圧が困難な現実を見せる。麻薬が一度毒きのこのように広れば「麻薬との戦争」を宣言したところで効果はないという事実を各国が反面教師として物語っている。



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