◇習近平の関心は共産党一党体制強化

中国の対応を見ると米国の全面的攻勢で習近平政権の最大の関心は結局共産党一党体制を維持・強化するということが確認できる。外見上習近平体制は固く強力に見えるが、逆説的に三重のジレンマに直面している。

高度成長時代が終わり４０年間支えてきた共産党執権の正当性の重要な基盤が侵食されている。現在は「中国夢」というビジョン、強力な政治リーダーシップと社会統制を通じて体制安定を模索している。強い統制は疲労感と社会停滞を招くため長続きしにくい。「中国夢」のビジョンもまた予想できなかった新型コロナウイルス危機と米国の通商圧迫で計画通りの実現はしにくくなった。


結局短期的には人民の高まった期待にこたえるために「富強な国」の地位を誇示することが相対的に容易な選択になった。これもまた米国を中心にした国際社会の強い反発と牽制というジレンマに直面した。新型コロナ発源地議論で損なわれた中国のイメージは回復せずにいる。国際社会に反中感情が広がれば一帯一路など新たな対外発展戦略が萎縮しかねない。

習近平政権は内外でジレンマに直面している。共産党執権者は歴史的に内憂がある時に外患が重なり王朝が没落した教訓を持っている。先に内政に集中し外患に備える選択をする。多くの周辺国がある中国は内政に集中するためには低費用の安定した周辺国際環境を作らなければならない。外部の攻勢がある場合、正面対応よりはむしろ内部統治と統合に逆利用する戦略を使ったりもする。

習近平政権は米国の攻勢を共産党執権強化の重要な口実にして発展の時間を稼ごうと考えている。結局中国は米国との競争は時間の争いであり、時間は中国の味方だと判断する。米国に反発しながらも「米国国内の一部政治勢力の中国に対する偏見と敵対視」が問題だと強調する。大統領選挙後の局面転換を考慮し交渉の余地を残そうとする意図だ。米国との対立を拡張するよりは３０～５０年の未来を想定して長期戦に備え、内部体制と能力強化を準備する。

迂回術もやはり限界がある。危機管理が体制維持の必要十分条件ではないからだ。習近平政権はコロナ危機、米国の圧迫、国際社会の否定的認識と警戒、新成長動力確保の困難などを克服して中国人民の高まった期待を満たす具体的成果が切実だ。特に「総合的な生活の質」の実質的改善を成し遂げられるかがカギだ。習主席が米国の圧迫の中でも内需成長を改めて強調する双循環論を強調し、貧困退治運動を展開し、深センを訪問し、第２の南巡講話を再現するなど国内経済に注力する理由だ。


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