「今日の中国は旧ソ連ではない。第２の日本にはならず、第２の米国になることにも関心がない」。

米国の類例のない高強度攻勢に対する中国習近平政権の対応レトリックだ。ここに米国の圧迫に対処する中国の認識と今後の対応方向がうかがえる端緒がある。米国の総力攻勢にも中国は冷戦時代のソ連のように体制が崩壊することはなく、デカップリング（脱同調化）とリショアリング（本国回帰）など米国主導の世界的な脱中国化の試みにも日本のように成長が後退することはないと力説する。中国が米国を超えて覇権国になろうとする意図もないと主張する。叩く米国を直接非難はしない。むしろ国際社会に向けた抗弁であり中国人民の懸念を払拭させようとする意図だ。

中国に向けられたトランプ政権の圧迫と攻勢は米中修交４１年の歴史を通じて最も強力で全面的ということに依存はない。特に中国が絶対妥協できないマジノ線だと主張してきた核心利益、例えば台湾・香港・新彊・チベット、さらに中国共産党体制に対する全面的な攻勢が進行している。中国の対応は予想より慎重で消極的だ。中国は核心利益に挑戦した国に対しては国際社会の批判を押し切って強力な報復を断行してきた。フランス・日本・オーストラリア・カナダ・韓国まで激しい報復の対象になったことがある。だが、ほとんどすべての中国の核心利益を攻撃する米国に中国は意外に直接報復より「外交折衝戦」にもっとウエイトを置いている。


◇対米報復の代わりに外交折衝戦にウエイトを置く中国

中国は大きく３通りで対応している。まず、習近平主席と共産党体制の地位と安定に直接打撃を与えかねない米国の圧迫に対しては反発し正面から対抗する。一歩も退かないという姿勢だ。例えば台湾海峡での軍事訓練、香港国家安全法制定、そしてヒューストンの中国総領事館閉鎖に対抗した成都の米国総領事館閉鎖などが代表事例だ。

２番目に、国際社会で中国の孤立を最小化し友軍確保に向けた全方向外交に注力する。中国は米国が主導する世界的な脱中国化、国際的な中国包囲網形成を何より警戒する。これを弱めるために外交力を集中している。中国は一帯一路（陸上・海上新シルクロード）沿いの国などを中心に首脳間電話外交、防疫外交など多様な方式で友軍確保に出た。いつになく多者協力を力説する。トランプ政権との差別性だけでなく、バイデン民主党政権が登場する場合に再演されるグローバルガバナンス競争に備える次元だ。多者主義協力は同盟がない中国に重要な意味がある。同時に中国は中国封鎖に参加する国、例えばオーストラリアやカナダに対しては強力な制裁で反中国連帯の形成を押し進める。アメとムチ戦略だ。

３番目に、米国の「中国叩き」を逆利用する。中国人民の愛国心を刺激して内部結集と統合を図る。これを通じて新型コロナウイルス危機で損なわれた党・国家体制の支持を回復するのに注力する。民族主義が高揚された中国で異例にも反米感情は露骨に表出されていない。民族主義性向が強い環球時報でさえ「中国人の大多数は決して米国という国を嫌っておらず、米中関係が最悪の状況に進むことを望んでいない」という社説を掲載し、むしろ人民の反米感情を管理し米国と対抗する共産党に対する支持に誘導する。


【チャイナインサイト】中国、第２のソ連・日本・米国ではない第３の道は可能なのか？（２）