軌道を離脱していた中国経済が本来の軌道に戻った。４－６月期に続き７－９月期にも成長ペースを上げて「Ｖ字反騰」固めに入った。

中国国家統計局は７－９月期の国内総生産（ＧＤＰ）が昨年同期比４．９％増加したと１９日、発表した。２四半期連続の上昇だ。そのおかげで７－９月期までの成長率（０．７％）もプラス反騰した。フィナンシャル・タイムズ（ＦＴ）は「７－９月期の成長率は新型コロナウイルス（新型肺炎）感染拡大以前の昨年７－９月期成長率（６．０％）に近い数値」と報じた。

新型コロナの直撃を受けた中国経済は１－３月期に衝撃的な逆成長を記録した（－６．８％）。四半期別の数値を集計し始めた１９９２年以降、初めてのマイナス成長だった。だが衝撃は長くは続かなかった。中国経済は４－６月期（３．２％）に「Ｖ字反騰」に成功した。


４－６月期に比べてスピードをさらに上げたが、７－９月期の成長率は市場の見通し（５．２～５．５％）には至らなかった。だが、失望より安堵が市場の大半の反応だ。ＮａｔＷｅｓｔ　Ｍａｒｋｅｔｓの中国エコノミスト、劉培謙（Ｐｅｉｑｉａｎ　Ｌｉｕ）氏はブルームバーグのインタビューで「（成長動力が高まったからではなく）輸入が強い回復を示したことがＧＤＰ増加率を押し下げた」と話した。人民元高などの影響で、先月の中国の輸入は１３．２％増えた。

中国経済の肯定的な信号は至るところから感知することができる。９月の中国の産業生産は６．９％（前年同期比）増加した。今年に入って最も高い水準だ。９月固定資産投資増加率（０．８％）もプラスを回復した。同月の小売販売も３．３％増となった。市場予想値（１．８％）を上回って、８月（０．５％）に続いて２カ月連続増加だ。ＡＰ通信は「ショッピングモールと自動車代理店に消費者の足が戻ったことで中国経済が力を得ている」と報じた。

ＪＰモルガン資産運用グローバル市場戦略家のＣｈａｏｐｉｎｇ　Ｚｈｕ氏はＦＴに対して「消費心理の改善に伴い、国内需要をけん引する主要な動力が投資から消費に変わるだろう」としながら「次の四半期に中国国内の経済活動がより正常化すると期待している」と話した。

中国当局も自信を示した。中国国家統計局の劉愛華報道官はこの日の記者会見で「７－９月期の主要マクロ経済指標の大部分がプラスに転じた」とし「経済指標は中国経済の強い活力を見せている」と強調した。国際通貨基金（ＩＭＦ）は今年の中国経済成長率を１．９％と見通した。主要国のうち唯一のプラス成長予想だ。

中国の「一人勝ち」を見つめる視線は両面的だ。中国経済が復活すれば世界経済も息を吹き返すことができる。中国の産業生産と建設投資が増えれば原材料の需要が増えるためだ。中国の不動産投資は今年に入って５．６％増加した。気まずい雰囲気も感知される。主に米国からだ。ニューヨーク・タイムズ（ＮＹＴ）は「中国の輸入が輸出と比較する場合、ほとんど増えておらず雇用も中国だけで作られた」とし「経済回復の果実を中国だけが得ている」と指摘した。

伏兵にがすべてなくなったわけではない。米国大統領選など国際環境は依然として複雑だ。欧州のように新型コロナ感染再拡大が足を引っ張る可能性もある。中国経済の脆弱性に対する疑問も提起されている。ブルームバーグは「失業率と家計・企業負債増加に伴う負担が経済成長の圧力要因として作用する場合もある」と指摘した。先月の中国の失業率は５．４％だ。コーネル大学のエスワール・プラサド（Ｅｓｗａｒ　Ｐｒａｓａｄ）教授はＦＴのインタビューで「民間投資と家計消費の増大が続くように事業環境と消費心理を造成することが中国の今後の課題」と指摘した。

このための中国政府の腹案は「双循環」だ。輸出依存を脱して内需中心に持続可能な成長軌道を形成することに重点を置く戦略だ。２６日に始まる中国共産党第１９期中央委員会第５回全体会議（第１９期五中全会）で確定する「第１４次５カ年計画」の話題でもある。