北朝鮮の金正恩国務委員長のベンツを大阪港から釜山港に運送するのに関与した韓国業者が公開した送り状。 オ・ウォンソク記者
米民間シンクタンクの高等国防研究センター(C4ADS)が16日(現地時間)に公開した北朝鮮の「ぜいたく品調達網」分析報告書には、ベンツの運送過程に日本物流業者の瑞祥物流と美濃物流が登場する。
この報告書によると、昨年6月にオランダ・ロッテルダムを出発したベンツは中国大連→大阪→釜山→露ナホトカと4カ所の港を経由して最終的にウラジオストクから平壌に向かった。
ロッテルダムから最初の寄着地の大連にベンツを移した荷主が瑞祥物流で、その後、大阪に搬入して釜山に送った業者が美濃物流だ。しかし報告書は実際に釜山港にベンツを運送した業者は美濃物流の韓国支社と推定した。
報告書で韓国支社として言及された業者の関係者は中央日報に対し「(美濃物流は)資本提携がない単なる協力会社」とし「(大阪に本社がある)美濃物流代表とは数年前から業務上知っているだけ」と話した。続いて「(運送品に)ベンツ2台があったのは覚えている」とし「中古車を国内に運ぶものと考えていて、北に行くとは夢にも思っていなかった」と主張した。また「美濃物流の徐正健代表は日本に帰化した漢族出身の中国人」と明らかにした。
徐正健代表も北朝鮮との関連性を否認した。徐代表はこの日、時事通信のメールインタビューで「北朝鮮へ行く乗用車ということは全く知らなかった」とし「大連の物流会社から依頼を受け、中国に到着した貨物を日本国内の輸入手続きを踏まずそのまま釜山に送る還送申告だけした」と主張した。
C4ADSの報告書によると、瑞祥物流と美濃物流は事実上、同じ会社とみられる。時事通信は「瑞祥の登録住所は兵庫県尼崎市とみられ、美濃物流の執行役員の住所と同じ」と伝えた。報告書は釜山からナホトカにベンツを送った荷主も瑞祥物流と見なした。
数回にわたり積み替えられたベンツは昨年9月30日、釜山からトーゴの国旗を付けた貨物船DN5505号に積まれてナホトカに向かった。ところがDN5505号は釜山港を出港した後、怪しい動きを見せた。自動船舶識別装置(AIS)を消したまま5日間運航した後、ナホトカ港に到着した。
この船の船主はマーシャル諸島に登録されたドヨンシッピング(Do Young Shipping)で、対北朝鮮制裁監視網を避けるために不法に積み替えた疑いで取り調べを受けた業者だ。DN5505号はナホトカにベンツを降ろした後、石炭2588トンを積んで昨年11月に浦項(ポハン)に入港、韓国当局に抑留されて現在取り調べを受けている。
ナホトカからウラジオストクに運搬されたベンツはその後、姿を消した。そしてまた登場したのが1月31日、平壌でだ。報告書は「平壌の道路を運行中の金正恩委員長のベンツが(この日)朝鮮中央テレビの画面に登場した」とし「高麗航空所属の貨物機で北朝鮮に運んだと推定される」と伝えた。報告書によると、北朝鮮はベンツ以外にも2015年から2年間、レクサスなど日本製の車256台を含む計803台をこれと似た方式で密輸した。
国連安全保障理事会傘下の対北朝鮮制裁委員会は3月、年次報告書で金正恩委員長が各首脳会談で利用した車は「明白な制裁違反」と報告した。対北朝鮮制裁委はシンガポールを通じて北朝鮮に関連情報を要請したが、北朝鮮は安全保障上の理由を挙げて情報提供を拒否した。
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