２８日に突然退陣するまで辛格浩（シン・ギョクホ）ロッテ総括会長は６７年間、経営の一線を守った最長寿のオーナー経営者だった。「ガム一つでアジアをのみ込んだ男」という華麗な修飾語がつく神話だった。

１９２１年に蔚山市蔚州郡三同面（ウルサンシ・ウルジュグン・サムドンミョン）で生まれた辛会長は早稲田実業高等部（現早稲田大）を卒業し、４８年に日本で株式会社ロッテを設立した。当時日本に駐屯する米軍がかんでいたチューインガムを商品化し、事業の基礎を築いた。５９年にロッテ商事をスタートさせた後、ロッテ不動産・ロッテアド・ロッテ物産などを相次いで設立し、流通業界を代表する企業となった。韓国に進出することになったのは６６年にロッテアルミニウム、６７年にロッテ製菓を相次いで設立しながらだ。７３年に韓国事業の持ち株会社格のホテルロッテを、７９年にはグループの中枢会社のロッテショッピングをそれぞれ設立した。

韓国でロッテグループは辛会長がロッテショッピングとホテルを手掛け、次男の辛東彬（シン・ドンビン）会長が系列会社を８０社まで増やし、現在、国内財界５位に成長した。日本ロッテは資産規模が３１４４億円にのぼる。


辛会長は「シャトル経営」でも有名だ。奇数月には韓国、偶数月には日本に滞在し、韓日両国のロッテグループを経営したからだ。しかし最近の数年間は主に韓国に滞在している。現在はロッテホテル小公店の新館３４階にある執務室兼住居で生活している。９０歳代の高齢にもかかわらず一日に１回以上は実務役員から報告を受け、鋭い質問をするほど旺盛な経営活動を見せた。