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韓国の社内留保金への課税、「日本では想像もできないこと」

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版
「社内留保金に税金をかけるというのでしょう? 政策の実効性の有無を離れ大企業の影響力が強い日本では想像もできないことです」。

深尾京司教授は韓国で日本の「失われた20年」が話題になっている点に大きな関心を見せた。韓国の経常収支黒字が過去最大という最近の中央日報日本語版の記事を揺らして見せ、「1990年代の日本と経済指標が似てはいる。しかし韓国はICT分野の投資も多く、日本よりグローバル・開放型経済構造なので“失われた20年”をそのまま踏襲する可能性は小さい」と予想した。深尾教授は経済・経営学分野の名門である一橋大学の経済研究所長だ。以下は主なやりとり。

――いま韓国では日本のように「失われた20年」に落ち込むのではないかと心配する人が多い。


「1990年代の日本と類似している側面がある。家計消費不足、経常収支黒字、高いウォンなどがそうだ。企業が海外に出ていき国内生産性が低くなるのも似ている。日本と違い不動産市場が過熱しなかったというが、私が韓国銀行の資料を調べたところ韓国のGDP比の総土地価値はとても高い水準だった」

――それでは、韓国も長期沈滞に入るのか。

「そうではなさそうだ。まず1985年のプラザ合意のような対外的な圧迫がない。また、日本はICT分野に投資せず生産性が低下したが、韓国はIT大国だ。韓国はすでに米国・EUと自由貿易協定(FTA)を締結した。日本はようやく環太平洋経済連携協定(TPP)に加入しようとしているが不如意な状況だ。企業も日本よりはるかにダイナミックだ。外国語に堪能な熟練した労働者も多い」

――それでも内需不振と高齢化による生産性低下の懸念は残っている。

「サービス産業活性化などで内需振興をする余地が十分にある。日本も最近経済産業省で高付加価値創出関連報告書を作った。そして高齢化は必ずしも生産性低下を招くものではない。壮年層の経験を生かしいくらでもうまく活用することができる。むしろ私は韓国銀行がなぜ金利引き下げに出ないのか気になる。政治的な問題があるのだろうか。通貨・為替政策は根本的な解決策ではないが、現状では十分に効果があるように見える。韓国は二極化問題が深刻だと承知している。大企業と中小企業の溝も日本に比べ大きいように見える。政府がこうした側にもう少し乗り出さなければならないのではないか」

――アベノミクスに対してどう思うか。

「あまり気は乗らない。消費税を8%に上げ財政健全性を拡充するというが、せっかく高まった消費需要に水を差してしまった。良く知られてはいないが日本政府は現在中小企業の海外進出を奨励している。私はこの部分も懐疑的だ。もちろんトヨタのような巨大企業の下請け企業がついていくならトヨタには良いことだろう。だが中小企業が海外進出で生産性を高められるかは疑問だ」

――多くの専門家が成長率を高めるには規制緩和が必要だという。

「もっともな話だ。だがビジネスと公的領域がオーバーラップされる医療・教育・交通分野の規制緩和は慎重でなければならない。韓国はセウォル号事件を体験しなかったか。効率的な公共サービスが必要な部分だがこの点では日本も問題が深刻だ。官僚組織が部署利己主義に陥っている。安倍首相が力を加えている経済産業省は最近他部署と協調する姿を若干見せているが不足している。そこで私は政府から独立した研究と政策の立案機関が必要だと主張してきた。官民合同の産業競争力会議を毎日やったところで官僚らは予算確保のことでも考えるだろう。官僚改革が重要だが日本では水の泡となった」。(中央SUNDAY第386号)



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