朝米間のレトリックが危険だ。国のトップが激しく攻防するという前例のないことが頻繁に生じている。軍事衝突も排除できないほどだ。問題の根源は北朝鮮が核・ミサイル挑発で韓半島(朝鮮半島)の安保構図を変えようとするところにあるが、国内では北朝鮮はどうすることもできないため米国を説得するべきだという声が多い。それもそのはず、事件が発生すれば韓国に被害が発生するため大事故は防ごうという単純心理が作動しやすく、ろうそく集会の民心で政府を誕生させた後であるだけに戦争か平和かという二文法的な観点が通じる社会の雰囲気がある。さらにトランプ式の対応に米国内の批判が多いため、米国にも援軍がいるという心理も働いている。あれこれと平和のために米国との対立も辞さないという注文が政府に入っている。
これがトランプ大統領の訪韓前夜の雰囲気だ。政府はその間、北朝鮮の挑発の前で、国際的な流れと国内支持層の注文の間を行き来する政策選択をしてきた。その結果、対米関係と支持層管理の両面であいまいな状況に置かれたりもした。ところが今は平和の注文が台頭している。
しかし冷静に見ると、その道に進む場合、事態はさらにこじれる。まず、今は米本土が北核の脅威を受ける状況だ。米国は自国に脅威となれば過剰反応してきた歴史を持つ。しかもワシントンでは米国優先を標ぼうするトランプ大統領が厳然たる決定権者だ。自己流で進む可能性が高い。こうした現実のため、日本・豪州はもちろん中国さえもトランプ大統領に慎重に対応している状況だ。
もちろんこれらの国と戦争の惨禍にさらされる韓国は違うと主張できるだろうが、なら韓国が強く平和を提起する場合、米国の動きが制御されるのだろうか。米国との信頼関係が強ければ可能かもしれない。では、現在、信頼関係は強いだろうか。おそらく少し衝突が生じても問題がないほどの信頼関係ではないだろう。むしろトランプ式の思考では、米国は北朝鮮の挑発に対して韓国を守ろうと努力しているが、米国が脅威を受けても韓国は自国の利益しか頭にないと考える可能性がある。同盟に信頼問題が生じる可能性があり、逆機能が懸念される。そうなる場合、今のように難しくなった韓中関係の中で中国はこれを利用するはずだ。北朝鮮も機会を逃さないだろう。
米国に追従して戦争のリスクを背負おうという話ではない。我々の目標が戦争または平和の二分法でなく、戦争も防いで挑発も牽制しながら交渉をするという複合的なものであるため、それに適した対処をしていく必要がある。その間、政府もこの点を苦心してきたようだが、もう少し注文するなら、米国の要求と国内の支持層の期待をその時々に選択する物理的な接近より、両要素を我々の複合的な目標に合うように化学的に融合した政策ミックスの枠を先に形成し、この骨格を持って対米協議をする方がよいという考えだ。そうすれば政策の一体性・一貫性と予測可能性の側面で批判は減るだろう。そして対米協議の過程で必要な説得をしなければいけないが、そのためには先にやるべきことがある。
まず、信頼をさらに蓄積しなければいけない。そうしてこそ説得する立場が生じる。基本は韓国が同盟として共同の脅威を回避せず、応分の責任を果たす用意を堅持することだ。これとともにトランプ大統領のように特異な指導者に対しては、道徳的な判断や好き嫌いの感情を捨てて現実主義で対応しなければいけない。
2つ目、説得作業も連携を強化する中で静かにする必要がある。トランプ式接近の部分的効用も認めるのがよい。そうしてこそ説得が効果的だ。トランプ式強圧術は危険な点を除けば対北朝鮮抑止に効用があり、中国を牽引する成果もあった。トランプ大統領は認められることを好み、批判を受けることに極度に敏感だという点はよく知られている。
3つ目、米国を説得するのは韓国だけでは手に負えない。こうした点で日本との協力が重要となる。韓国と日本は危機と戦争に類似の観点を持つ。ところが日米の信頼レベルは高い。国内にはこれを蔑む見方があるが、韓国がするべきことは日本と協調し、日本が持つ信頼関係を我々の対米説得に活用することだ。さらに豪州など域内の米国の同盟と共感を広げることも可能だ。
結論的にトランプ式対応は調律の対象だが、いま対立するには蓄積された資産が不十分でありリスクが大きい。信頼を得ながら徐々に接近する必要がある。政府発足後の短い期間の対米外交の結果ではこれ以上はできない。自他を熟知せず出過ぎたことをすれば厳しい現実に直面することになるだろう。
魏聖洛(ウィ・ソンラク)/ソウル大政治外交学部客員教授
◆外部者執筆のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。
これがトランプ大統領の訪韓前夜の雰囲気だ。政府はその間、北朝鮮の挑発の前で、国際的な流れと国内支持層の注文の間を行き来する政策選択をしてきた。その結果、対米関係と支持層管理の両面であいまいな状況に置かれたりもした。ところが今は平和の注文が台頭している。
しかし冷静に見ると、その道に進む場合、事態はさらにこじれる。まず、今は米本土が北核の脅威を受ける状況だ。米国は自国に脅威となれば過剰反応してきた歴史を持つ。しかもワシントンでは米国優先を標ぼうするトランプ大統領が厳然たる決定権者だ。自己流で進む可能性が高い。こうした現実のため、日本・豪州はもちろん中国さえもトランプ大統領に慎重に対応している状況だ。
もちろんこれらの国と戦争の惨禍にさらされる韓国は違うと主張できるだろうが、なら韓国が強く平和を提起する場合、米国の動きが制御されるのだろうか。米国との信頼関係が強ければ可能かもしれない。では、現在、信頼関係は強いだろうか。おそらく少し衝突が生じても問題がないほどの信頼関係ではないだろう。むしろトランプ式の思考では、米国は北朝鮮の挑発に対して韓国を守ろうと努力しているが、米国が脅威を受けても韓国は自国の利益しか頭にないと考える可能性がある。同盟に信頼問題が生じる可能性があり、逆機能が懸念される。そうなる場合、今のように難しくなった韓中関係の中で中国はこれを利用するはずだ。北朝鮮も機会を逃さないだろう。
米国に追従して戦争のリスクを背負おうという話ではない。我々の目標が戦争または平和の二分法でなく、戦争も防いで挑発も牽制しながら交渉をするという複合的なものであるため、それに適した対処をしていく必要がある。その間、政府もこの点を苦心してきたようだが、もう少し注文するなら、米国の要求と国内の支持層の期待をその時々に選択する物理的な接近より、両要素を我々の複合的な目標に合うように化学的に融合した政策ミックスの枠を先に形成し、この骨格を持って対米協議をする方がよいという考えだ。そうすれば政策の一体性・一貫性と予測可能性の側面で批判は減るだろう。そして対米協議の過程で必要な説得をしなければいけないが、そのためには先にやるべきことがある。
まず、信頼をさらに蓄積しなければいけない。そうしてこそ説得する立場が生じる。基本は韓国が同盟として共同の脅威を回避せず、応分の責任を果たす用意を堅持することだ。これとともにトランプ大統領のように特異な指導者に対しては、道徳的な判断や好き嫌いの感情を捨てて現実主義で対応しなければいけない。
2つ目、説得作業も連携を強化する中で静かにする必要がある。トランプ式接近の部分的効用も認めるのがよい。そうしてこそ説得が効果的だ。トランプ式強圧術は危険な点を除けば対北朝鮮抑止に効用があり、中国を牽引する成果もあった。トランプ大統領は認められることを好み、批判を受けることに極度に敏感だという点はよく知られている。
3つ目、米国を説得するのは韓国だけでは手に負えない。こうした点で日本との協力が重要となる。韓国と日本は危機と戦争に類似の観点を持つ。ところが日米の信頼レベルは高い。国内にはこれを蔑む見方があるが、韓国がするべきことは日本と協調し、日本が持つ信頼関係を我々の対米説得に活用することだ。さらに豪州など域内の米国の同盟と共感を広げることも可能だ。
結論的にトランプ式対応は調律の対象だが、いま対立するには蓄積された資産が不十分でありリスクが大きい。信頼を得ながら徐々に接近する必要がある。政府発足後の短い期間の対米外交の結果ではこれ以上はできない。自他を熟知せず出過ぎたことをすれば厳しい現実に直面することになるだろう。
魏聖洛(ウィ・ソンラク)/ソウル大政治外交学部客員教授
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